プレミアリーグ第18節の延期分より、アストン・ヴィラとトッテナム・ホットスパーの一戦は、0-2でトッテナム・ホットスパーの勝利に終わった。スパーズは6位に浮上。連敗は2でストップした。
試合詳細
フォーメーション

アストン・ヴィラベンチ
ヒートン、テイラー、ナカンバ、バークリー↑66、エルガジ↑60エンゲルス、エルモハマディ、K・デイビス↑79、ラムジー
スパーズベンチ
ハート、ベイル、ダイアー、シソコ↑81、デレ・アリ、ベルフワイン↑66、デイビス↑57、スカーレット、デヴァイン
スコアラー
トッテナム・ホットスパー
29:ヴィニシウス(ルーカス)
68:ケイン(PK)
メンバー選考
両チームのメンバー選考について見ていこう。
アストン・ヴィラ
アストン・ヴィラは、前節のニューカッスル戦からラムジーをサンソンに、エルモハマディをキャッシュに変更した2枚のみ。チームの要選手であるグリーリッシュは、ケガでこの試合は欠場となった。
サンソンを投入したことにより、攻撃時のファイナルサードにおける人数の厚みとクオリティを増したかったことが狙いだろう。後退の理由は、攻守に貢献できる選手であることで、運動量が多かったことや、もう少し攻撃に特化した選手が欲しかったから、バークリーと交代したのだろう。個人的にはモンペリエ時代から注目していた選手なので、もう少し見たい選手だった。
キャッシュを投入したのは、プレビューで書いたとおりだと思う。

チームの狙いは、基本的にプレッシャーを与えてパスを乱れさせて、カウンターを狙っていく。ボールを保持した際にはサンソンとマクギーンを中心に組み立てていき、基本的にサイドから崩していくイメージだと思われた。
トッテナム・ホットスパー
スパーズは直近のディナモ・ザグレブ戦から7人、アーセナル戦からは4人の変更。ラメラは出場停止のため出場せず、オーリエとアルデルヴァイレルトは病欠との情報があり欠場となった。ソン・フンミンは、アーセナル戦で負傷したため、この試合は欠場。代表戦も招集外となった。
サプライズは、今シーズンリーグ戦初先発となるヴィニシウスがケインと2トップを組んだことだろう。そして私はロドンとタンガンガのどちらかのみの起用になると予想していたが、どちらも起用してきた。そしてシステムは基本4-4-2の形。多くのサプライズがあった試合で、ベンチメンバーも驚きがあった。このメンバー選考は、この試合のポイントになるため、下記で書いていこう。
試合内容
試合は20分あたりまではスパーズがボールを保持して、ヴィラがブロックを作りながら構えつつ適度にプレスをかけるゲーム展開だった。それ以降はヴィラが少しずつペースを握り始めるなど、時間帯によって支配するチームが交互に代わるといった、比較的五分五分といえる試合になった。支配率50%でパス本数もヴィラ416本とスパーズ421本という数字を見れば、分かると思う。
また、25分あたりまで、シュート数がスパーズ1本のヴィラ0本という数字も、この試合の中盤での攻防がイメージできるのではないか。
シュート数が互いに少ない状況だったが、29分に試合が動く。レギロンが前線へフィードしたところへヴィニシウスが走り込むが、これをGKがクリア。しかしそのクリアボールをルーカスがカットしてケインとワンツー。そしてサイドのハーフスペースへ抜け出したルーカスから、中央へ折り返してヴィニシウスがリーグ初スタメンで初ゴールを奪う。
この日のスパーズは、ヴィラにビッグチャンスを作られることはなかった。ロドンはクロスへの対応で多くのボールをブロックしてピンチを防ぎ、若い最終ラインがヴィラの攻撃陣にシュートを撃たれてもブロックして対応した。
しかし後半12分にアクシデント。レギロンが負傷離脱し急遽デイビスが投入された。このレギロンのケガは少々心配ではあるものの、後日本人がSNSに問題はないとの投稿があり安堵したサポーターは多かったことだろう。
そして試合は68分にケインが倒され得たPKを自らが決めて0-2とした。この時ロチェルソが看板の上に座っていたが、これは交代後であることを認識してほしい。
その後はヴィラが攻勢に出る。しかしスパーズディフェンダーの壁は厚く、枠をとらえていたであろうバークリーのシュートは、タンガンガが滑り込んでスライディングブロック。この日の試合への熱を感じたシーンだった。
そしてそのまま0-2で試合終了。結局スパーズが勝利して2連敗でストップした。
試合のポイント
この試合のポイントは、私はメンバー選考にあるとみている。その理由を見ていこう。今回は戦術的な話ではなく、非常に精神論的な話になってしまうことを、先にお詫びしておきたい。
まずこの試合、モウリーニョ監督はソン・フンミンがいないことで少々頭を抱えたはずだ。またELで敗退したことでメンバー選考は相当に悩んだはずだ。その中で送り出した選手たちが、この試合のメンバーに選ばれている。そのことをまず理解しておく必要があるだろう。
私はこの試合のスタメンは、勝利への熱を感じるメンバーだったと感じた。特にここまで出番の少なかったロドン、タンガンガ、ヴィニシウスは久しぶりに訪れた、もしくはリーグ戦で初めて起用された選手たちは、シュートブロック、ゴールと結果を出した。彼らの試合への思いもひしひしと伝わってきたが、この試合で最も熱を感じたのはルーカス・モウラだった。
ルーカスはこれまでの試合で、守備面でやや残念なシーンをよく見たが、この試合では前線からしっかりプレスに行き、ボールを奪ってゴールをお膳立てするアシストを記録。今日の試合を観ていると、トップ下というポジションが彼を自由にさせていて、サイドほど後ろに下がって守備へ走ることもないためタスクも少なく生き生きとプレーしているように思えた。ボールを奪いに行く姿勢や倒されそうになっても前へ向かう姿勢は、勝利への情熱を感じさせるプレーだった。
もちろん、他のスタメンの選手たちも敗戦を払拭しようとしてプレーしていたのは感じ取れた。
だが、スタメン以外に注目すべきは、ベンチのメンバーにすら入らなかったメンバーのことである。
この試合でベンチにはユースからデヴァイン、スカーレットが入った。そしてベンチ外だったトップチームの選手は、アルデルヴァイレルト、オーリエ、ウィンクス、ドハティ、ラメラ。このうちアルデルヴァイレルトとオーリエは病欠、ラメラはサスペンションだったことを考えると、ウィンクスとドハティが選ばれなかったメンバーだ。
これが戦術的な理由なのか、はたまたそれ以外の理由なのかはチーム内のみぞ知るといったところだが、私はそれ以外の理由の方だと思っている。フレッシュかつ前向きな選手を選考したかったと話すモウリーニョ。
すなわちこのメンバーはそれに該当する選手たちであり、それ以外の選手たちはそうではないといっていいのではないだろうか。まだEL敗退後1試合のみの試合のため様子を見ていく必要はあるが、少なからずドハティとウィンクスにはそのポジティブな要因がないことを意味していると思われる。
他のベンチメンバーにも含まれいる可能性はある。これ以上の戦力ダウンは考えたくないため仕方なくベンチに座らせた選手もいるのかもしれない。いずれにしても、この代表ウィーク中に序列の変化が大きく変わることはないと思う。ソン・フンミンは次節4月4日のニューカッスル戦も間に合いそうにないため、どのようなメンバー選考になるのか注目したい。
次の試合
次のスパーズの試合は日本時間4月4日日曜日の22時5分からキックオフ。会場はニューカッスルホームのセントジェームスパーク。ニューカッスルとの試合は前半戦にジョエリントンのロケット体当たりシミュレーションがあり引き分けになった大変遺憾な試合。この試合は実力差を示したいところだ。
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