プレミアリーグ第24節、マンチェスター・シティとトッテナム・ホットスパーの一戦は、3-0でマンチェスター・シティの勝利に終わった。
試合詳細

マンチェスター・シティベンチ
ステフェン、ウォーカー、ディアス、トーレス↑69、メンディ、マフレズ↑79、ガルシア、ドイル、アグエロ
トッテナム・ホットスパーベンチ
ハート、ドハティ、アルデルヴァイレルト、ウィンクス、ベイル↑72、シソコ↑46、デレ・アリ↑64、ベルフワイン、ヴィニシウス
スコアラー
マンチェスター・シティ
23:ロドリ(PK)
50:ギュンドアン(スターリング)
66:ギュンドアン(エデルソン)
メンバー選考
この試合の両チームのメンバー選考から見ていこう。
マンチェスター・シティ
マンチェスター・シティは、この試合で右サイドバックに前回対戦時のスタメンだったウォーカーではなくカンセロ、反対のサイドにはジンチェンコを選んだ。ここ数試合のシティが目指しているかたちのまま試合に入ったのだろう。
中盤より前は、現在考えられるコンディションの優れた選手たちが入った。特にギュンドアン、シウバ、ロドリの中盤は現在のシティの連勝を支える強さの象徴で、この試合でも中盤を支配して試合をコントロールしていこうという意図が見て取れた。
前線はジェズス中央でスターリングとフォーデンが入れ替わり立ち代わり。スターリングは主に右サイドから仕掛けていた。それはおそらく、スピード勝負でデイビスとのマッチアップを狙ったのではないだろうか。
トッテナム・ホットスパー
トッテナム・ホットスパーは、ダイアーがスタメンに復帰し、相棒にはサンチェス。右サイドバックにはリーグ戦初スタメンとなるタンガンガが入るサプライズ。中盤より前は、前節と同じメンバーが入った。
ダイアーの復帰は、前節までを温存ととらえておくべきなのだろう。右サイドのタンガンガは意外だったが、オーリエの状態に何か問題があったと考えてもいいだろう。となりとドハティよりも対人に強いタンガンガが入ったとみるべきだ。
中盤より前は、エンドンベレが中盤に入ることで、ある程度試合をパスで支配したいのではないかという目論見が見えた。そしてその位置から縦へパスを出して、少しずつパスをつなぎながらルーカス、ラメラ、ソン、ケインを活かしていくのが狙いだったのではないか。
試合内容
試合は終始マンチェスター・シティがボールを持ち、スパーズがブロックを形成して引いて守るといった展開だった。
とはいえ、前半はPKで決められはしたものの、ディフェンス陣は奮闘し幾度となくシュートブロックをした。スパーズの最大のチャンスは、ケインのフリーキックだけであったが、しっかり守備を固めることができ、ビッグチャンスを作られていないもののかなりギリギリの勝負といった印象を受けた前半だった。
後半に入ると、ルーカスのポジションにシソコが入った。しかし50分には、スターリングのカットインからジンチェンコ、スターリングと繋ぎ、一瞬の隙を突いてギュンドアンが前線へ上がりそのままシュート。ロリスの手を弾いてゴールインした。
スパーズは64分にデレ・アリを投入して流れを変えようとするも、再び油断した隙を突かれる。エデルソンのフィードが伸び、それに走り込んだギュンドアンが上手く収めてサンチェスを振り切りシュート。これもゴールに入って3点目。
72分にスパーズはベイルを投入して再び流れを変えようとするも、惜しいシュートをベイルが放ったくらいで結局、3-0でシティが連勝をキープ。スパーズは公式戦ここ6試合で1勝5敗となった。
試合のポイント
この試合のポイントを3つに絞って見ていきたい。
戦い方を変えたように見えたスパーズ
スパーズはこの試合カウンター主体ではなく、後ろからつないでいき、要所でチャンスがあったらカウンターを狙うという戦い方のように見えた。
それは前回対戦時にエンドンベレがトップ下だったが、この試合ではボランチの位置に起用されていたことから言えるのではないだろうか。この試合ではロングボールを今までの試合ほど多用せず、奪われそうになるほどひやひやするシーンでもしっかり繋いでいたのは、今シーズンあまり見ない展開だった。
しかし先制されると後半からはシソコがボランチの位置に入って、エンドンベレがトップ下に移動することで前回対戦時と同じような布陣に。しかしこの交代は良かったとは言えない。シソコがエリア内でギュンドアンに対して、ボールウォッチャーになってしまって一瞬の隙を突かれてマークを剥がしてしまったためだ。守備固めが狙いだったのであれば、この起用は良くなかったように思う。
さて、話を戻そう。パス主体で挑む姿勢は、今後のことを考えてのチーム変革の1つなのだろうが、残念ながらこのシティ戦で試すべきではなかったように思う。それは前回対戦時には、カウンターで上手く2得点を取れ勝利できていたからだ。
とはいえ、エンドンベレがボランチの位置で少しずつ起用しているのは、カウンター主体からの変革ととらえていいだろう。となると、トップ下の位置に誰を配置するのか。直近はルーカスが多いが、個人的にここにはボールをおさめてパスを捌ける選手が必要に思う。モウリーニョはデレ・アリやロチェルソの復活や復帰を期待しているように感じた。それはここ最近途中出場でデレ・アリを起用し始めていることから私はそう思っている。昨シーズンのデレ・アリを知っているからこそ、期待したいはずだ。
いずれにしても、今は変革期といっていいのではないだろうか。モウリーニョはレアル・マドリー時代にもバルセロナ相手に就任最初のクラシコで0-5で敗戦。しかし後半戦には引き分けにしチームを立て直した。このマドリーを比較対象にするのはよくないかもしれないが、チームに少しずつ変革をここからもたらしてくれるのではないだろうか。
レギロンの不在が響いた左サイドの攻防
この試合のデイビスは、スターリングに完璧にやられていたといってもいいのではないだろうか。私の集計では3回ほどワンツーで裏を取られて突破を許してしまっている。これによって、ソン・フンミンが守備に下がってフォローに入って攻撃への参加が遅く成るシーンがたびたびあり、攻撃面での活性化も図れなかった。
また、攻撃面においても左サイドで厚みのある攻撃ができていないように思う。
前回対戦時の左サイドバックはレギロンがスタメンだった。この試合のサイドでマッチアップした選手はマフレズだったが、彼をレギロンは自由にさせなかった。
デイビスは直近のチェルシー戦でも、ハドソン=オドイ、ジェームズにワンツーや裏を取られて縦への突破を許してしまう場面が多かった。このことからも、このサイドはこの試合狙われる要因になったのだろう。以前のブログでも、レギロンとロチェルソの離脱以降調子を落とし始めたスパーズと話したが、やはりこの試合でもそれは如実に感じた。
勝利へのメンタリティ欠如
最後は何名かがお話されているところを見かけたが、やはり勝利へのメンタリティの部分ではないだろうか。正直、この試合のスパーズは前線への推進力がかなり不足していたように感じ、失点後も必要以上に後ろに戻して組み立てなおすシーンがあった。決して組み立てなおすことが悪いわけではないものの、一昔前の日本代表戦を見ているような感覚に陥った。
ラメラを重宝して起用しているモウリーニョは、私が思うにボールを奪われてもすぐにプレスに行き、簡単には剥がされないところなのではないだろうか。
とはいえ、全体的に試合終盤はかなり足が止まってきたように思う。また、3失点目以降は次の試合に向けた調整のような感じもし、サポーターとしてはやや不満の残る試合になったはずだ。
競争力という面において、オーリエがドハティ加入後コンディションが良くなったように、どのポジションの選手たちにもやはり競争力からくる勝利へのメンタリティは必要不可欠なのではないだろうか。まだ先の話ではあるが、スキップやセセニョンが来シーズン帰還するなど、今いる選手たちも決して安泰の状態ではない。また選手層が厚くなれば、この試合のように疲労が蓄積することもなくなってくるだろう。
モウリーニョはどちらかというと今までのチームでは、少数精鋭を好む傾向がある。ゆえに選手を固定しすぎるあまり競争力が生まれにくく、3年目あたりで失速してくるのではないかと私は思っている。
メンタリティの部分は、正直他からの指摘ではなかなか変えにくい部分があるが、それをどう改善して残りのシーズン戦っていくのか見ていきたいところだ。
次の試合
トッテナム・ホットスパーの次の対戦相手は、UEFAヨーロッパリーグラウンド32。アウェイでヴォルフスベルガーとの対戦だ。試合時間は日本時間の2/19で2:55からキックオフとなる。
今シーズンの決勝ラウンドからは、WOWOWがUEFAの大会を放送することになっている。まだ放送カードを確認できていないが、まずは勝利を手にしたいところだ。
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