本日、早朝からサッカー界が慌ただしい1日になった。欧州スーパーリーグ構想に始まり、モウリーニョ監督の解任と、スパーズサポーターは非常に心が参る1日だったことだろう。
そこで、今回のブログでは、モウリーニョ監督の解任に関しては一旦おいておき、欧州スーパーリーグとはいったい何なのかについてまとめていきたい。そして私の考えについても話していければと思う。
そもそも欧州スーパーリーグって何?
そもそも欧州スーパーリーグとは何なのか。簡単にまとめていこう。
欧州スーパーリーグ(ESL)とは、UEFA(欧州サッカー協会)主催のチャンピオンズリーグ(CL)に対抗するものとして発案されたものである。ヨーロッパの中にある12のビッグクラブが参加を表明し、最初のシーズンに向けて、今後さらに3クラブの操業クラブと招待クラブ5クラブの8クラブが加わり合計で20クラブとして大会が開かれる。
参加クラブ
では上記に述べた12の参加クラブはどこなのか。
- イングランド
- ・マンチェスター・ユナイテッド
- ・マンチェスター・シティ
- ・リヴァプール
- ・チェルシー
- ・トッテナム・ホットスパー
- ・アーセナル
- イタリア
- ・ユヴェントス
- ・ACミラン
- ・インテル
- スペイン
- ・レアル・マドリー
- ・バルセロナ
- ・アトレティコ・マドリー
ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンとボルジア・ドルトムントは今のところ参加を表明していない。そしてフランスリーグ・アンのパリ・サンジェルマンも表明していないが、ここはまず参加することはないだろうと私は思っている。
というのもパリに出資している方がUEFAのスポンサーも務めているはずだ。すなわちここが抜けるということはいよいよESLの勝利でUEFAの負けを意味すると私は思っている。この騒動に関しては、パリの動きを見ていればどうなるのか見えてくるかもしれない。
大会の詳細
大会は10クラブずつを2つのグループに分けて開かれる。それぞれでホーム&アウェイで試合が行われることになる。そして大会の上位クラブは決勝トーナメントという形でノックアウトステージを戦っていくことになる。それぞれ1位から3位までは自動的に上のラウンドへ進出。4位と5位に関してはプレーオフをそれぞれ戦った後、残った2クラブが決勝ラウンド進出が決定する形になり、決勝トーナメントは合計で8クラブで行うそうだ。
開催時期に関しては、基本的には自国のリーグ戦と被らない平日に開催したい意向。注目の開催スタートに関しては、2021年度中には開催したい意向を示しているとのこと。
あわせて、男子サッカーだけでなく、女子サッカーの大会も行っていくとのこと。
人事
ESLの初代会長にはレアル・マドリーの現会長であるフロレンティーノ・ペレス氏が務める。
副会長にはユヴェントスの会長であり、元欧州クラブ協会(ECA)の会長だったアンドレア・アグネッリ氏と、マンチェスター・ユナイテッドのオーナーであるジョエル・クレイザー氏が名を連ねた。
チャンピオンズリーグ(CL)と異なる点
一番気になるのは、CLとは何が異なるのか。いくつかある。
ビッグクラブへの利益が大きい
まず、UEFA自体が放映権料や興行収入で得た利益をヨーロッパのUEFA加盟国に分配金を払っている。これによって、本来であればチャンピオンズリーグという大舞台で戦っていたクラブチームからすると、自分たちが得た資金源がなぜ自分たちの下ではなく他クラブ他国に渡ってしまうのかという不満があった。
しかしこの欧州スーパーリーグは、大きな母体を必要とせず、自分たちで作り上げることで放映権料といったものをすべて自分たちの参加クラブで分配できるという構図になる。すなわち、もうけは全て参加するクラブのものになるというわけである。
確約される賞金
この大会がチャンピオンズリーグと最も異なるのは、確実に参加でき、そして参加するだけで莫大な賞金が確約されるのだ。これにより、予算を組むことが容易になり、クラブ経営がより安定する。
賞金の総額はおよそ100億ユーロ。一説によるとチャンピオンズリーグの5倍近くの賞金総額だそう。そのうち半分は出資する会社が決まっており、残りは放映権料などによるものだろう。すでに決まっているため、参加するクラブは得ることができる金額をある程度把握したうえで参加を表明したのだろう。
降格がない
これも各国のリーグのように降格がないため、常に参加できる形になるという点では、上記と同じである。
スーパーリーグ構想に対する反応
この発表に対して、多くのサッカーファンは否定的な意見を述べている。お金によって毒されている、歴史と伝統の破壊など。
そしてサッカーファンだけでなくUEFAやFIFAも声明を出した。
それは、スーパーリーグに参加するのであれば、各国のリーグ戦への参加、そして所属するクラブの選手は代表選やネイションズリーグへの参加を認めないとするというものだった。
何故このような構想が生まれた?
ここからは私個人の見解が入っているので、話半分で読んでいただけますと幸いです。
UEFAへの不満
まず最も大きな要因はUEFAという組織への不満が爆発したからだろう。そもそもこのスーパーリーグ構想はここ何年か話題に上がっていたが、なかなか日の目を見ることがなかった。しかしここにきて急に発表したのは、私が思うにこのCOVID-19の状況下によるクラブチーム存続の危機がいよいよ感じられるようになってきたからではないか。しかし一向にUEFAはクラブに対して補償などなんら動かなかったことから、不満が爆発してここでの発表になったと私はにらんでいる。
上記でも述べたように、1つはビッグクラブへの賞金の分配が適切ではなかったのではないか。自分たちの試合で稼いだお金がよそのクラブチームに渡るのはおかしいという意見だ。
そしてもう1つは、UEFAがFFPに関してマンチェスター・シティに制裁を下せなかったことだ。これによってUEFAの権力の大きさが分かってしまったといってもいいのではないか。
さらに追い打ちをかけるようにCOVID-19によって無観客で収益が大幅に減少してしまったこと。これによって赤字を出したクラブは、すぐに得ることができる大金に目がくらんでも何ら不思議ではない。クラブを大事にするがゆえに参加を表明したクラブも中にはあるといえるのではないか、いやそう思いたい。
新チャンピオンズリーグ
そしてUEFAはここにきて2024年から合計100試合が行われる新しいチャンピオンズリーグを発表した。内容は全部で32チームから36チームへの増加。グループステージではなくリーグ戦方式にするというものだ。
これによってより多くの放映権料が入るという、UEFAがスーパーリーグ構想を否定することができないような構図になってしまった。しかしその入ったお金は、試合をするビッグクラブに多く入ることがないことから、上記に戻るが試合が増えるだけでお金が入らないので不満が爆発した格好だ。
これらを踏まえて私の見解
これらの出来事や内容を踏まえて私の見解を話していきたい。
現状として私は、各国のリーグ戦にも参加できるのであれば良いのではないかとも思う。というのも、やはり各国それぞれのクラブチームはその地域に根付いて強くなってきたクラブチームで、歴史とアイデンティティというものを大事にしていくべきだ。ゆえにリーグ戦に参加できるのならスーパーリーグは問題ないのではないかと思う。
それにUEFAがふざけた大会案を提出した時点で、スーパーリーグ構想と同じようなものだからだ。お金目的でやっていることが何ら変わらないのであれば、まだ各クラブが運営するスーパーリーグの方が選手への負荷も少ないのではないかと主思う。
参加したクラブに対しては、大金に目がくらんでいると多くの方がおっしゃっているが、もしCOVID-19が蔓延していなければ私もその意見に同調していた。しかし現状は違う。クラブが存続の危機という現実もあるのだ。
私もグラウンドキーパーというサッカーに関係する職業についている以上、サッカーでご飯を食べさせていただいているといっても過言ではない。そして様々なサッカー関係者とも仲良くさせていただいており、彼らが現状頭を抱えているのも存じている。そして日本国内だけでなく、プレミアリーグに属するグラウンドキーパーが以前、チームの成績が良くなく収益が安定しないため芝生の管理費を年々下げられているということも伺っている。
こういった現実を知っているからこそ、私は安易に反対することができない。クラブを守るために、そしてクラブで働く人を守るために動いている人もいるのだ。バルセロナは特にそうではないだろうか。クラブのこれまでのお金の使い方による自業自得といわれてしまえば、それまでだが。とはいえ、もしオーナーや会長などのトップのみが私腹を肥やすのであれば、私はもちろん反対する。
もう1つの反対要員として、参加するクラブチームとそうでないクラブとの間により大きな格差が生まれてしまうのも事実だ。その点においてはこのスーパーリーグ構想に関して私は反対である。何かしらもっといい方法があるのではないかとも思うが、現実思いつかないのも事実。
これらも相まって、私は現状賛成でも反対でもなく様子を見たいというのが現状だ。
まとめ
ざっくりまとめると、UEFAが招いてしまった自業自得といってもいいのかもしれない。裁けるものを裁けず、不満点の改善を厳かにしたことが招いたといってもいいのではないか。
今回起こったことは、もしかするとフットボールの歴史における大きな分岐点になるかもしれない出来事だ。しばらく様子を見てこの出来事がどのような週末を迎えるのか見ていきたい。
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