フラム vs トッテナム・ホットスパー マッチレポート

サッカー記事

カラバオカップによる前倒しで行われたプレミアリーグ第33節、フラムとトッテナム・ホットスパーの一戦は、0-1でトッテナム・ホットスパーの勝利に終わり、スパーズは2連勝を飾った。とはいえ、勝利できたのは判定に助けられたといってもいい試合だった。

試合詳細

フォーメーション

フラムベンチ

フォブリ、テテ、ミトロビッチ↑71、レアム、デコルドバ=リード、ブライアン↑75、オノマー、アンギサ↑64、コンゴロ

スパーズベンチ

ハート、レギロン、ウィンクス、ラメラ↑75、ダイアー、シソコ↑67、タンガンガ、ルーカス↑67、ヴィニシウス

スコアラー

トッテナム・ホットスパー

19:OG(アダラバイヨ)

メンバー選考

両チームのメンバー選考について見ていこう。

フラム

フラムは前節からレイドとテテ、アンギサを入れ替えて、カバレイロ、レミナ、ロビンソンを入れ3枚のメンバー変更を行った。

カバレイロを投入した狙いは、前回対戦時に再度で張りCBを引き付ける動きなどを行って、より効果的な攻撃を仕掛けることができていた点や、得点を決めていたことから、選ばれたのではないだろうか。

レミナを入れたのは、この試合のパス成功率が92%と高いことからも、パスセンスの高さが示されるように、ゲームをボールを回してコントロールしようという意図が見受けられた。

ロビンソンは、縦への推進力の魅力的なサイドバックの選手であり、攻撃を仕掛ける際により厚みのある攻撃にしようという意図が感じられた。

いずれにしても、この3人を選んだのは、パスを回しつつチーム全体で前へと圧力をかけていき、奪われたらショートカウンターを仕掛けるためにすぐに奪いに行く。そして前線のフィジカルの強いマジャ、ロフタス=チークを中心にボールを預けてサイドのルックマンやカバレイロを活かしていくというシンプルだが運動量と中盤の支配力がカギになるようなメンバーを選んできた。

トッテナム・ホットスパー

スパーズは、前節からレギロン、オーリエ、ルーカスをそれぞれデイビス、ドハティ、デレ・アリに変更。

試合前にこれを見た時には、デイビスが下がり目の位置をとり、ドハティが少々高めの位置取りをして攻撃に参加するかと思っていた。しかし試合中は主にこの形のように思われたが、デイビスも要所で上がり攻撃に加わっていた。

デレ・アリの選考は、この試合のちょっとしたサプライズといえるのではないか。彼は今シーズンケガや監督とうまくいっていないなどマイナスな要素が多かったが、モウリーニョはここ数試合のパフォーマンスを見てスタメンに起用してきた。

狙いとしては、前からの守備をしっかり行っていきたいという意図が感じ取れた。ラメラが直前にコンディション不良ではないかといわれていたことで、おそらくではあるが、本来ならラメラがスタメン出場だった試合のように思うが、いずれにしても彼にとってチャンスになり、それを見事にものにしたといえる。

全体を見てのメンバー選考理由は、フラムはボールを保持してゲームを作っていくチームであるため、なるべく前がかりにプレスをかけてボールを奪ってそこから仕掛けていきたい狙いだったのではないか。

オーリエが前節に負った負傷ではないかという噂があった以上、ドハティが活躍できそうなシステムを活用するために、この試合ではレギロンではなくあえてデイビスにしたのではないか。

試合内容

試合は序盤はフラムがボールを握って試合を組み立てていたのに対して、スパーズはボールを前へ運ぼうとしてもすぐに奪われてピンチを迎えるシーンが多かった印象を受けた。

しかしこの流れを変えたのは、17分のチャンスで、その起点となった選手は、この試合で久しぶりのリーグ戦スタメン出場となったデレ・アリだった。前がかりにプレスに行ったところで、デレ・アリが足を延ばしてボールをカット。そこからエンドンベレが受け取り前線のケインへ。ケインは左サイドのソンに渡してボールを受け、そこからアウトサイドで蹴ったボールにケインがヘディングで合わせた。ゴールこそならなかったものの、デレ・アリのカットは先読みをして奪うなど、この試合のデレ・アリのモチベーションを感じさせるものがあった。

続く19分には待望の先制点が生まれる。ベイルが1度奪われそうになったボールを取り返し、そのまま前線のデレ・アリへ。そこから左のソンがドリブルで仕掛けてクロス。デレ・アリがこれをそらしてゴールかに見えたが、結局アダラバイヨのオウンゴールとなってスパーズの先制。調子が上がってきたベイルとデレ・アリの起点から生まれたゴールで、スパーズにとっては明るい希望がみえた一連の流れだった。

その後の前半は、スパーズがボールを持って、フラムは逆に上手くボールを回すことができずに苦戦する展開となった。39分にはデレ・アリのクロスにソン・フンミンがヘディングで合わせるものの枠へ飛ばすことができず。とはいえ、この日のスパーズは全員が守備意識が高く、切り替えも早くできていた。前半終了間際にピンチがあったものの、結局0-1で前半終了となった。

後半は、フラムが徐々にスパーズゴールを脅かすように。51分のフリーキックからピンチを迎えたものの、ロリスがビッグセーブでコーナーに。このコーナーもアダラバイヨが合わせてきて枠外に放ったものの、セットプレーの脆さが徐々に出てきたか。

すると、スパーズは全体的に動きが悪くなってきたか、選手間の距離が空き、サポートへの姿勢が徐々に薄くなってきてしまった。そしてロングボールで逃げてフラムボールにしてしまうなど、もったいない形でのボールロストが増えてきた。

すると62分にはサンチェスがクリアしようとしたボールが跳ね返ってマジャの下へ行き、シュートを放ってゴール右隅へ。今シーズンの後半の失点の多さを感じ取れるような失点だったものの、これはなんとVARによってハンドとなり取り消しに。スパーズとしては、助かったといえるのではないか。

このハンドに関しては、試合後にルールの変更アナウンスがあった。意図的でなければハンドリングにしないという通達だった。フラムにとっては審判に振り回された形になってしまった。

65分にもコーナーキックからピンチを迎えるなど、上手くボールを支配できないスパーズだったが、83分にシソコ、ラメラと繋いでケインがシュートを放つ場面ができた。とはいえ後半のチャンスらしいスパーズのチャンスはこれだけだったように思う。そのまま結局、スパーズは何とかブロックを形成して守り切って、0-1でフラム相手に勝利。リーグ戦は2連勝となった。

試合のポイント

この試合のポイントを3つに絞って見ていこう。デレ・アリの復調、フラムの攻撃の形、厳しいスパーズのサイドバックの3つだ。

デレ・アリの復調

まずこの試合では、デレ・アリが今シーズンの開幕戦であるエヴァートン戦以来のリーグ戦スタメン出場を飾った。少々サプライズであったが、試合後のモウリーニョは、ギフトではなくデレ・アリ自らが勝ち取ったチャンスであることを述べ、彼の努力によるものであるとの趣旨を会見で話した。

この試合のデレ・アリは、攻守ともに集中し貢献していた。先制点を得る前の17分の決定的なチャンスでは、デレ・アリがパスコースを読んでカットしたところから攻撃がスタートしている。

そして攻撃面においても、結局オウンゴールとなってしまったものの、ケインとエリア内へ侵入して攻撃に厚みを持たせることができていた。また、39分にもソン・フンミンのヘディングシュートを演出したのは、デレ・アリの質の高いクロスボールからだった。

前がかりに行くプレスを見ると、ポチェッティーノ時代のプレッシングを彷彿とさせた。ボールホルダーにファーストディフェンダーがプレスに行くとき、周りの選手はパスコースを読みボールを奪う。この動きはここ最近のスパーズの選手たちにはなかったことであり、デレ・アリの守備意識の高さを感じさせられた。

また、エンドンベレやホイヴィアが少々高いポジションで攻め上がった際には、バランスを取ってその抜けたスペースのカバーに入りカウンターを警戒するなど、ルーカスやラメラと明確な違いを感じ取れ、リスク管理も怠ることなくできていたように思う。

それらは、前半の走行距離6.14kmという両チームの選手たちの中で最長距離を走っていることからもいえるのではないだろうか。

まだおそらくは、プレミアリーグでフル出場できるほどのフィットネスではないのだろうと思われるが、彼が十分にフィットしてくれば、スパーズがここから連勝を積み重ねていくのはかなり期待できる。

フラムの攻撃の形

フラムはこの試合で、前評判通りボールをつないでゲームを支配しようとした。前半の途中からはスパーズに抑え込まれてしまったものの、後半からは立て直しに成功していた。

フラムの攻撃は、やはりロフタス=チークを中心とした攻撃の組み立てが強みであると私は思っている。彼が楔となるボールを受けそこから展開してチャンスを作り出していた。特にこの試合では、ドハティが上がり目のポジションを意識していたことで、そこにスペースが生まれやすかった。

ただでさえドハティは守備が決してうまいわけではなく、そしてその前にいるベイルもプレスバックがあまりうまい選手ではない。フラムはここを見逃すはずはなかった。ロフタス=チークを警戒しているが故の出来事を見ていこう。

54分のシーンだが、アダラバイヨからのロングボールに抜け出したルックマンがボールを受けてチャンスを作り出そうとしたシーン。このシーンでは、ロフタス=チークが左サイドに位置しており、ドハティをやや引き付けたうえで、ルックマンが裏を取りやすくしていた。

このようにロフタス=チークは、オフザボールの動きでもディフェンダーを引き付けて見方を活かすことができていた。彼がサイドへ動けば、そのサイドで攻撃時に厚みを持たせることができた。下記で述べるが、スパーズはサイドバックの選手の守備が正直なところ穴になりやすいのは現実。ハーフスペースを使うことや、サイドバックを中央へ引き付けてクロスを用意に上げるように持っていくプランをしっかりチームとして意識していたように思う。

ロフタス=チークありきといえばそうかもしれないが、フラムが彼の動きや身体的な強さ、パスセンスあってこそ、今のフラムの攻撃ができているといえるのではないか。

厳しいスパーズのサイドバック

スパーズのサイドバックは、正直なところ今日の組み合わせでよくクリーンシートを達成できたといっていいだろう。ドハティは攻撃参加が売りのはずだがクロスも連携もいまいち。守備時にも裏を取られてしまいチャンスを作られる。

デイビスはプレスを寄せられた際に慌ててしまいパスが乱れることが多くチャンスを作れずボールロストが多い。守備時にもやはりワンツーからの抜け出しに対応が遅くなってクロスを上げられてしまうシーンがあった。

この試合のクロス数を見ていこう。スパーズのクロスの本数は5本に対して、フラムのクロスの数は23本。実に4倍以上のクロスボールを上げられていた。

スパーズはクロスボールを多用するのではなく、手数を少なくしてカウンターで仕留めることが多いチームのため、クロスボールが少ないのはある程度納得いく。しかしフラムの23本のクロスボールというのは、チームとして入れられ過ぎとも思われる。

もちろん、マンチェスター・シティなどは、先日のウルブズ戦で27本のクロスを記録するなどこのフラムの23本という本数自体が多すぎるわけではない。フラム自身もここ数試合は20本前後のクロスボールを記録していることを前提としておく。

とはいえ、今シーズンのスパーズはクロスボールからの失点やセットプレーからの失点が非常に多いことは皆さん存じ上げていることだろう。そのクロスボールをいかにして入れられないようにするのかが、非常に大事だと思う。

特に気になったのは、61分のVARで取り消しになる前のフラムのチャンスだ。レミナが受けて右大外のカバレイロにボールが渡ったが、このシーンでカバレイロはフリー。デイビスはインに絞りすぎており、マークに付きにいけずブロックをすることになった。結局クロスボールを上げられてシュートを撃たれてしまった。

このシーンでは、デイビスがあまりにも容易にクロスを上げさせてしまっていることだ。フラムもシティ同様にこのハーフスペースを多用してくるチームのため、対策をしてきたはずだがピンチを招いてしまっている。

ドハティも同様にマークに付き切れずにクロスを用意に上げさせてしまうことが多かった。

今シーズンのクロスからの失点数というのは、中央でマークに付き切れないことが多々問題視されているが、このクロスを上げさせないという地味ではあるが大事なプレーができていないことがスパーズの勝ちきれない要因ではないかと思う。

次の対戦相手

スパーズの次の対戦相手は、日本時間3月8日の早朝4時15分からホームでクリスタル・パレスとのリーグ戦。主審はスチュワート・アトウェル。現在2連勝中となっているスパーズ。このままロンドンダービーでも連勝していきたいところだ。

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