スポンサーリンク

Jリーグも秋春制を導入へ?メリットやデメリット含め芝生視点から考える

PR含む

このブログはプロモーションを含んでいます

Jリーグ
この記事は約9分で読めます。

ヨーロッパサッカー観るならU-NEXT

スポンサーリンク
U-NEXT

昨今、再び日本のサッカー界で話題になっているのは、いよいよJリーグも秋春制を導入するか否かについてです。

この件に関しては、今でも様々な議論がなされており、賛成派も反対派もいるように見えます。

多くの方がこの件に関して議論をされている中で、私は今回グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)らしく芝生の管理視点から見た意見を書いていこうと思います。

また、最初にはどのようなメリットデメリットがあるのかについても書かせていただきましたので、ご参考までにどうぞ!

このブログの作者Ikumiはアーセナルで
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
気になる方々はぜひ過去の記事を遡ってみてください。
SNSも発信中。気になる方はぜひフォローを!
Twitter: @Ikumi_grounds

ブログの作者Ikumiより

そもそも秋春制とは?

そもそも秋春制とは、秋にシーズンが開催し春にシーズンが終了することを指します。9月ごろから5月ごろですね。これはヨーロッパではすでにこの日程で行われています。

現在のJリーグでは、春秋制と呼べばいいでしょうか。2月ごろにシーズンがスタートし、11月や12月にシーズンが終了しています。

このシーズンの開始と終了の季節のことを指してそれぞれ、秋春制や春秋制と呼ばれています。

春秋制(現在のJリーグ)2月中旬開幕11月下旬または12月上旬閉幕
秋春制(ヨーロッパ)5月6月閉幕完全オフ9月ごろ開幕→(ウィンターブレイク有の国も)

この議論は何故起こるのか

この議論が何故起こっているのかについては、私の憶測ではありますが、2つの大きな理由があると思います。

ACLが秋春制を導入

まずアジアチャンピオンズリーグ、ACLがこの制度を導入しました。これによって参加するJクラブは、現在の制度ではシーズンオフを挟んで挑戦しなければならない状況になります。

春秋制のままですと、オフにしっかりと休養をとれず、1年フル稼働で挑まないといけない状況は、選手にとって大きな負荷がかかり、クラブにとっては厳しい打撃を受けることになるでしょう。

ヨーロッパに合わせる

もう1つは、ヨーロッパに合わせることです。ヨーロッパに合わせるメリットは、選手の移籍のしやすさとクラブにとってはチーム編成のしやすさが挙げられます。

また、ヨーロッパのクラブがオフシーズンに日本へプレシーズンに来た際に、日程の確保がしやすくなる点などが挙げられるかと思います。

メリットとデメリット

ここからは秋春制を導入することによるメリットとデメリットについて書きます。

メリット

夏場を避ける

メリットとして、夏の暑い時期を避けることができる点です。選手にとって暑い中での強度の高い運動は、非常に動きにくく、生命の危険さえあります。

今現在では、夏場は基本的にナイターでの試合開催のため、そこまで大きな問題はなさそうですが、日々の練習などは日中に行っている場合が多く、選手が練習中に倒れる事案もチラホラと。これを避けることができるのは大きいのではないでしょうか。

日程をヨーロッパやACLと合わせる

もう1つはヨーロッパとACLに日程を合わせることができる点です。

これは上記でも書きましたが、選手にとってはオフシーズンが夏場に被ることで、ヨーロッパへの移籍先を探しやすい環境になります。そしてクラブ側はシーズン途中ではないためそれを容認しやすい環境になり、よりヨーロッパへの移籍がしやすい環境になるのではないでしょうか。

また、これによって、今までとは反対にJリーグクラブが夏場にヨーロッパに遠征へ行けるクラブも表れるかもしれません。

収益は厳しいかもしれませんがクラブにとっても最先端の技術が詰まったヨーロッパの練習場やスタジアムを見学でき、選手にとってはよりヨーロッパに近いところでのアピールの場になるので、大きなメリットはあるかと思います。

トッテナム・ホットスパースタジアムグローライト

デメリット

大雪

最も大きな、そして最大の懸念材料は、大雪です。2023年の日本では、大寒波が来て全国的に大雪に見舞われたと伺いました。これによって、交通網がストップするだけでなく、その影響から試合すら続行が困難になる恐れもあります。

お客さんが来れないと収益が上がらないため、試合をすればするだけ赤字になるような運営になってしまっては、元も子もないです。

特に雪国では、試合はおろか練習すらもままならない状況になる可能性がありそうです。全国でコンディションのいいチームと悪いチームが、冬を境に如実に表れてしまう予感がします。

解決策

個人の考えた解決策は、もし秋春制を導入するのであれば、12月中旬から3月頭まではウィンターブレイクにしなければならないと思います。

単純にこのウィンターブレイク導入だと、9月最初の土日から5月末までの日程で、28試合程度各土日に行えます。残りの試合はミッドウィークに開催することになります。

カテゴリーによって、そして多くの大会に出場するクラブにとっては過密日程になりますが、冬場の大雪のことを考えると、これが最も効果的かと思います。

ただ、寒い時期の集客は確実に難しくなると思いますので、そこは大きな懸念材料になるでしょう。

雪国で開催できず、それを雪が比較的少ない地域で開催することに回すのも、クラブによって収益に大きな影響を及ぼしかねないと思います。

日程→6月閉幕9月開幕12月中旬から2月上旬までウィンターブレイク

芝生の視点から見る秋春制の導入について

ここからは、芝生の視点から見る私の考えです。

私個人としては、秋春制の導入は条件付きで問題ないと思っています。というのも、私が上記で書いたように、ウィンターブレイクを導入するのであれば問題ないだろうと思います。

ではイングランドプレミアリーグのように、ウィンターブレイクなしでできるのかと言われると厳しいと思います。

日本の北部における雪は、プレーにおいても芝生においてもマイナスの影響を与えますし、特に練習場の雪を毎日かき分けるという作業は、人にも芝生にも大きな負荷がかかります。

グラウンドチームの人数が多ければ問題ないでしょうが、少ないとまず雪をどけることは無理ですね(笑)

写真はアーセナルトレーニングセンターの大雪時の様子。これを毎日雪かきするのは至難の業です。

そしてこの影響で、練習が毎日できるチームとできないチームでコンディションに大きなばらつきが出てしまいかねないと思います。

また、イングランドプレミアリーグと日本の大きな違いは、テクノロジー導入の部分も多少なりともあるかと思います。基本的に芝生も植物なので、寒くて日照時間が短ければ成長は遅くなり止まってしまいます

ヨーロッパではそれを補うためにヒーティングシステムやグローイングライトシステムなどを導入して、なんとかテクノロジーでカバーしています。

日本でこのテクノロジーをたくさん導入できるかといわれると、私は今の現状では厳しいと思いますし、そもそもこれらのテクノロジーは、かなりお金が必要で、なおかつ大雪に対して根本的な解決策になりません

もう少し芝生に関していうと、冬場には芝生も凍ってしまいます。凍るとどのような影響があるかというと、凍った状態の芝生を踏んだり触れなければ特に問題はないですが、踏んでしまうと芝生の細胞自体が簡単に壊れてしまいます。

例えると、水たまりが凍ると簡単に割れてしまうように、芝生の中の水分が凍ったことでそれらを踏むと芝生の中の水分が水たまりの氷のように破壊され、芝生そのものが死んでしまいます。

ですので、このブログを読んでいる人は、芝生が凍っていたり何かしらの植物が凍っている場合には、絶対に踏まないように気を付けましょう!

ちなみにアーセナルトレーニングセンターでは、1日中溶けない箇所もあります。気を付けます。

一方で夏場にシーズンオフという点に関しては、どちらでも良いかと。競技場に関しては、Jリーグの試合が行われるはずだった日程が空いた分は、学生たちのサッカーの試合が入ってくるでしょうし、その利用日程を各自治体が上手く調整できれば、芝生にとっては問題ないと思います。

また、夏場にオフがあることで、ヨーロッパだとその間にピッチのリノベーション(芝生の全面張替え)を行っています。日本の今の制度ですと、夏場にもシーズンがあるので、その時期にリノベーションをするとなると、ホームで試合ができないというデメリットになりますし、冬場のリノベーションは芝生の活着度合いにかなりの時間を要します。

夏にオフがあるとリノベーションができるようになる点だけでなく、クラブ専属の練習場ですと、成長期に利用が少なくなるので、その間に芝生をより仕上げやすくなり、シーズン全体を通して芝生自体のクオリティ向上に繋がると思います。

一応補足で上記でも書きましたが、競技場の場合はクラブが使わない日は別の学生などの団体が使用すると思うので、おそらく今まで通りになるかと思います。あくまでもクラブ専属の練習場としておきます。

これらの点を考慮して、私としてはヨーロッパに合わせるのは世界的に見ても選手たちのステップアップには大きなメリットがありますし、合わせるべきかと思います。

芝生目線で言うと、ウィンターブレイクを確保するのであれば、大きな問題点は無いように思えます

冬場にもしっかりシーズンを行うとなれば、雪かきだけでなく芝生の回復にもかなりの時間や技術を必要とするでしょう。ウィンターブレイクなしの場合は反対です。

まあ、我々に決定権は無いので、その時々の環境に合わせて、しっかり技術を身に着けて適応していくというのも、この仕事における醍醐味かと思います。

これはあくまでも私の意見ですので、これらでより多くの方々で議論ができるといいですね!

まとめ

今回は秋春制を導入するか否かという点についてフォーカスしました。多くの意見があると思いますが、おそらく最も懸念されているポイントは、やはり冬場の雪ではないでしょうか。

これに関しては、観客の方々が来場できなくなるだけでなく、選手が思うような練習ができなかったり、芝生が凍ってしまい低いクオリティでの芝生を提供してしまうため、選手のコンディションにも影響しかねます。

これを解決するためには、やはりウィンターブレイクの導入は必然かと思います。現状のJリーグがどのような考えの元、動いているのか私には分かりませんが、さすがに大雪の懸念がある中でのシーズン開催は無いと思います。

まずは、そもそも開幕時期を動かす必要があるのか、そして動かすとしたら、どのように動かすのか。中途半端なシーズンが必ず生まれてしまうと思いますし、それらをどう解決するのか。

私としては、これからもこの秋春制を導入するか否かについての動向は追っていこうかと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました