京都スタジアムの件から見る芝生管理

サッカー記事

京都府亀岡市にある京都サンガのホームスタジアムである京都スタジアムby京セラ。ここで先日聖火リレーがあったのだが、そのあとの芝生の状態がひどいものだとSNS上で炎上している。

聖火リレー実施スタジアムで芝生が一部変色 車両走行など影響か、J2サンガ選手「影響なかった」|社会|地域のニュース|京都新聞
J2第16節の京都サンガFC‐甲府が行われた30日、会場となった京都府亀岡市の府立京都スタジアム(サンガスタジアム京セラ)では、芝生が長方…

この記事の写真を見てわかるように、陸上トラックのように四角く黄色に変色しているのだ。

私はこの件から、芝生のグラウンドの使い方というものをサッカー競技者のみならず、スポーツに携わる方、そしてそれをご覧になる方が芝生に関する知識を増やしていただきたいと思い、今回は記事を書かせていただいた。

スタジアムでイベントをやるタイミング

そもそもスタジアムでイベントをやるタイミングというのは、どのようなタイミングなのか。基本的には2パターンある。1つはイベント後から次の試合まで大幅に時間があり、芝生の養生期間を多く取れるタイミング。そしてもう1つは、試合の日程を終えて芝生の張替えを行うタイミングで、もともとある芝生の上でイベントを行うタイミングだ。後者に関しては、年1回は必ず張り替えている豊田スタジアムがその代表例で、5月6月ごろに様々なアーティストのライブやイベントを豊田スタジアムで行っていたのは、ちょうどそのタイミングが冬芝を撤去して夏芝に張り替えるタイミングだからだ。

京都スタジアムの場合

では今回の京都スタジアムはどうだったのか。25日と26日にスタジアム内で東京オリンピックの聖火リレーが行われ、芝生保護材を敷いた上をランナーや報道車などが計約8時間走行していたそうだ。

そして本日の30日に京都サンガとヴァンフォーレ甲府の試合が行われた。この期間わずか4日。屋外で屋根のないグラウンドならまだしも、光の当たりにくい屋根のあるスタジアムではとても養生期間が多かったとは言えない

さらに言えば、たとえ芝生保護材を置いていたとしても、その上を車が常に走り回っていたとなると、芝生が沈み込んでしまい、保護材の置いてあったか所とそれ以外の箇所で段差ができてしまうのだ。

例え芝生が緑色になったとしても、段差ができてしまう。この段差はボールの転がりが不規則になるだけでなく、選手が躓きケガの原因にもなりかねないものだ。

すなわちまとめると、この程度の養生期間では、仮に芝生が良くなったとしても、選手のケガのリスクまでも完全にカバーしきれない可能性がある。今回の試合でケガ人が出なかったのは、グラウンドキーパーの努力のたまものといっていいのではないでしょうか。

ちなみに申し上げますと、このような屋根のあるグラウンドの芝刈り機は乗用の機械ではなく、手押しの機械を使って可能な限り機械による芝生への踏圧を防いで管理をしているほどシビアな条件です。

これらから見る芝生の文化について

今回の事例から私が感じたのは、やはりまだまだ日本に芝生の文化が根付いていないことだ。京都スタジアムというのは、「球技専用スタジアム」。そして京都市にある西京極総合運動公園は陸上トラックもあるスタジアムだ。どちらでリレーを行えばよいのかは、一目瞭然のように思うのは私だけではないはずだ。とはいえ、リレーを行うにしても、中継車がピッチ内に入らなければまだよかったのだが。。

スタジアムにある芝生というのは、あくまでもプレイヤーが心地よく快適にプレーできる環境を提供するものである。プレイヤーファーストだ。

その一例におなじみのトッテナム・ホットスパースタジアムを例に挙げよう。とはいえほとんどのことをこちらのブログでご紹介しているので、一度ご覧になっていただきたい。もちろんこのトッテナム・ホットスパースタジアムはクラブ所有物、京都スタジアムは公共施設であることは皆さん理解しているだろうが。

コラム:最新鋭の技術が詰まったトッテナム・ホットスパースタジアムの全貌【芝生編】
トッテナム・ホットスパースタジアムの芝生にフォーカスしました。どのような機械を使っているのか気になることが多々あると思いますが、これにて解決!!

このことからも、スパーズのスタジアムでは、プレイヤーファーストを心掛けたうえで、スタジアム運営を行っている。それでたどり着いた境地が人工芝のピッチと天然芝のピッチの二刀流というわけだ。

日本でこのようなスタジアムを作れる予算は残念ながらないでしょうし、クラブ所有というのは規模の面でも非常に厳しいものと思います。先ほども述べましたが、クラブ所有物と県や市が保有する施設であるという違いは理解してほしい。そんな中で私が見習ってほしい部分は、ピッチ上の芝生は選手がメインであるというところだ。スタジアムはあくまでも選手がプレーして価値があるもので、選手のことを考えてスタジアムの運営を行っていくべきである。利用頻度、利用時間、何を行うのかといったところだ。

とはいえ京都府や亀岡市の方々は、これから少しずつスタジアムや芝生のグラウンドについて理解を深めていっていただければよいのだが、私が最も憤慨しているのはIOCやJOCといったオリンピックに関してお仕事を行っている組織委員会だ。

選手ファーストを掲げている以上、今回のようなスタジアムの使い方をすればどうなるのかは理解していたはずだ。なぜ許可を出したのか分からない。オリンピック以外のスポーツに関してはどうでもいいのだろうか。オリンピックはあくまでも利益のことしか考えていないのではないかということが私の中でより強まった瞬間だった。

難しいのは、芝生を大切にし過ぎてしまい利用する機会が全くなくなってしまう点だ。我々グラウンドキーパーも利用者がいてこそ仕事があるといっていい。そこの両立をどうバランスを取っていくのか。決してライブイベントをやるなとは言わないですし、アーティストのライブイベントもあってこそ収益として成り立つ。今回の件で上げるとすると、ピッチ上で本当にやるべきだったのか。そして仮に行ったとして車が走り回っても良かったのか

グラウンドキーパーは今、芝生管理で芝生をきれいに管理していくだけでなく、文化や知識といったことも広げていかなければ、サッカーの発展にはつながっていかないだろう。これからも芝生に関して様々なことを発信していきたい。

京都スタジアムの件から考える大事なこと
今回のことから私の思う大事なことを書いていきたい。そして最後には、皆様へのお願いもありますので、ぜひ最後まで一読いただきたい。

コメント

  1. すずきかずまさ より:

    京都サンガスタジアムの費用負担は税金です。所有者は行政です。
    トッテナムはクラブの所有です。
    この事実は押さえた方が良いのではないでしょうか。

    • Ikumi Honda Ikumi Honda より:

      すずきかずまさ様
      お問い合わせありがとうございます。
      先ほど文を追加しました。説明不足な点、ご指摘いただきありがとうございます。

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