プレミアリーグ第17節、トッテナム・ホットスパーとリーズ・ユナイテッドの一戦は、3-0で公式戦5試合ぶりのクリーンシートを達成してスパーズが勝利をおさめた。
フォーメーション

スパーズベンチ
ハート、レギロン、ロドン、シソコ↑75、デレ・アリ、タンガンガ、ルーカス↑77、ジェドソン、ヴィニシウス↑87
リーズベンチ
カシージャ、オカンポ↑60、コスタ、エルナンデス↑65、クレスウェル、シャクルトン↑64、ジェンキス、キャシー、フュージンス
スコアラー
トッテナム・ホットスパー
29:ケイン(PK)
43:ソン・フンミン(ケイン)
50:アルデルヴァイレルト(ソン・フンミン)
メンバー選考
両チームのメンバー選考について見ていこう。
トッテナム・ホットスパー
スパーズは前節に引き続き、ウィンクスとドハティがスタメンに選ばれた。
ウィンクスが選ばれた理由として、リーズはかなり前がかりに来ることが予想される。その場合に足元でしっかりボールをさばき、パスでマークを剥がすことができる選手を求め、今シーズンスタメンに定着していたシソコではなくウィンクスが起用されたのではないか。
ドハティが起用されたのは、前節特に問題もなく、またオーリエがレスター戦で不用意なPKを与えてしまったがゆえにオーリエではなくドハティが起用されたのだろう。
そして左サイドバックのデイビスは、前がかりに来る相手に対してしっかりビルドアップに参加し、そして守備のブロックを形成し守備時はかなりインに絞って守ることで、裏を取られたりクロスをあげられるのを未然に防ぐ狙いがあったのだろう。
ベンチには離脱との報道があったルーカス、ヴィニシウス、そしてタンガンガが復帰し、レンタルバックの噂もあるジェドソンもベンチ入りメンバーに名を連ねた。
リーズ・ユナイテッド
リーズ・ユナイテッドは前節、ウエストブロム戦で5-0で大勝した時と同じメンバーを起用してきた。
この試合で途中交代したクリヒも復帰。しかしながら、中2日の中でこの強度の前がかりのプレスを仕掛けるチームが、メンバー変更なしで運動量を落とすことなく最後までプレーできるのかは疑問。
対するスパーズはフラム戦が直前の発表になってしまったが中止になったことで、中4日。この体力的な問題がどうなるのか注目した試合だった。
試合内容
試合の内容は、スパーズは前がかりにプレスを仕掛けていき、リーズDFのミスを誘う狙いがあった。対するリーズは、どのような状況でも前がかりにプレッシャーをかけに行き、ボールを奪い取ろうとする意図が見て取れた。
スパーズとリーズで異なる点は、スパーズはボールを奪われた瞬間のプレスは強く、リーズにボールが落ち着いた時にはブロックを形成しあまり前がかりにはいかなくなったことだ。
試合の展開は、両チームDFのミスを狙ってショートカウンターを仕掛けて合う展開が前半は目立った。スパーズも20分にドハティの横パスミスからピンチを招いたり、ダイアー縦パスミスを奪われてピンチを招いており、フィニッシュの精度次第では、リーズに得点を許していてもおかしくなかった。
特にドハティは、自陣守備時におけるクロスボールに対してマークを剥がしてしまいフリーでヘディングを許してしまうシーンがあるなど、パスだけでなく守備時の軽率なプレーもありやや不安が残った。
29分にベルフワインがPKをもらい、ケインがゴール。続く43分のゴールはこの試合のハイプレスを象徴するもので、ホイヴィアのカット→ケイン→ソンというショートカウンターが見事に決まったゴールとなった。
後半はいつものスパーズで、勝っているためなのか前がかりに行かず、しっかりブロックを形成して相手にボールを持たせる展開が続いた。気になるのは、シソコとルーカスが投入される75分以前で、この時間帯にコーナーキックを連続で与える場面があったこと。そして彼らが投入されるまでは、かなりの時間自陣エリア近辺でプレーされる時間が多かった。
しかし、この2人が投入されてからかなり状況は改善されたため、この交代策はうまくいったといえる。デレ・アリではなく、ルーカスをトップ下に投入したことについて否定的なサポーターの意見が目立ったが、私は納得できる交代策だったように思う。これについては下記で書いていこう。
それ以降は大きなピンチもなく、このまま試合終了かに思えたが、90+2分にドハティが2枚目のイエローカードで退場。これにはモウリーニョ監督も不機嫌そうな顔をし、試合終了。スパーズは5試合ぶりのクリーンシートとなった。
試合のポイント
この試合のポイントは、ソンの役割が前節までと若干変わってきたこと、モウリーニョ監督の交代策、デイビスのプレーという3つに絞って見ていこう。
ソンの役割
この試合のソン・フンミンは、前節ウルブズ戦、レスター戦よりも明確に裏を狙う動きを見せていた。
この2試合は、どちらかというと2トップの一角で、普段のポジションよりも中央よりでプレーしていた。これによって、アウトサイドの深い位置からインに入ってCBの裏を狙う動きが制限されていたように思う。
ただ、このリーズ戦ではサイドに流れたり、CBの裏を取ったりと、相手DF陣を翻弄していた。それによってCBと中盤の間にスペースが生まれて攻撃の起点になっていた。
今回のような試合を観ていると、やはりソン・フンミンはこの動きが最も活躍できるのではないかと思う。そしてスパーズCBには、アルデルヴァイレルトのようなロングボールが上手い選手がいることで、彼はより活躍できるのだろう。だからこそ、より左利きのCBが欲しいところだが・・・
モウリーニョ監督の交代策
モウリーニョはこの試合、交代カードがいつもよりも遅かった。最初の交代が75分で、いつもよりも10分以上遅かった。それに最初の交代はいつも、エンドンベレだがこの試合はウィンクスだった。
この試合で好調だと感じたウィンクスが交代になったのには理由があるだろう。まず1つはイエローカードをもらっていたことではないか。交代までの数分間は、かなり攻め込まれており、守備に走る時間が多かった。
その状況で2枚目を恐れてしっかりタックルに行けなくなること、そして仮に2枚目をもらってしまうと、リーズにより攻め込まれる時間が続き、嫌な思い出のあるウエストハム戦のように3点差ですら危うくなる可能性があった。まずは数的不利になることやタックルに行けなくなることを恐れたのだろう。
そしてもう1つの理由として、守備の強度をもう少し強くしたかったのではないだろうか。上記でも述べたが、押し込まれる時間が続いた。とはいえ、イエローをもらっていなければ、エンドンベレをシソコに代えて中盤の枚数を増やしていたかもしれない。ウィンクスがイエローカードをもらったことは、少しプラン変更を余儀なくされたといえる。
そして立て続けに77分にエンドンベレをルーカスに交代。この交代にも様々な意見があった。なぜデレ・アリではないのかといったことだ。
まず、この試合のエンドンベレは相変わらず素晴らしかった。ボールを前へ得運ぶことができ、ファイナルサードでのドリブル突破も見事だった。ここのポジションを代えるべきなのかは悩んだだろうが、リーグ戦でエンドンベレが全試合途中交代しているのを見ると、やはりまだ何らかの問題があるのか。交代の理由はそれと、フィリップスへの守備だろう。
デレ・アリもおそらくルーカスと同じようなタスクをこなすことができるだろうが、決定的に違うのは寄せる時のスピード。リーズの司令塔ともいえるフィリップスに対して、出足鋭くボールに寄せるのは、ルーカスにしかできないといえる。またサイドでの起用でなく中央に置いたのは、サイドだと守備に走る時間が増え、その場合、最近の試合のようにチェックが遅くなるとクロスを上げられてしまう恐れがあったからではないか。
また、先日のストーク戦のようなデレ・アリのミスからの失点の印象がモウリーニョに残っていたことも、ルーカスを投入した1つの要因ではないだろうか。とはいえ、ルーカスは全体的に良かったものの、守備に関しては少し緩慢なプレーがあったりと満足できるものではなかったため、これをどのように考えるのかは気になるところだ。
デイビス
この試合で久しぶりに輝きを放っていたのは、左サイドバックのベン・デイビスではないか。
とはいえ、ゴールを決めたわけでもアシストをしたわけでもなく、非常に目立たないプレーだった。しかしながら、この試合の働きは抜群だった。
自陣深い位置でクロスをしっかりブロックに行き、ラフィーニャやクリフを自由にさせなかった。また、ダイアーが裏を取られてもしっかり相手オフェンスに付いていきシュートをブロックに行っていた。
他にも、いつもはあまり見られない前へ出てボールをはじき返す動き。そして極めつけは要所の攻撃参加で、35分に裏抜けからクロスでベルフワインへの決定機演出は見事だった。
このパフォーマンスができるのであれば、今後のメンバー選考に大きな影響を与えてくると思う。レギロンがイギリス国内の新型コロナウイルスに関する警告を無視してパーティーに参加してしまったことも、今後のメンバー選考に大きく影響してくるだろう。
いずれにしても、このパフォーマンスであれば、モウリーニョも納得するだろう。
次の試合
トッテナム・ホットスパーの次の対戦相手は、1/6に行われるカラバオカップ準決勝、ブレントフォード戦だ。会場はトッテナム・ホットスパースタジアムで、日本時間4:45から。
そして1/11にはFAカップ3回戦でマリーンとの対戦。会場はマリーン・トラベル・アレーナ。日本時間2時からキックオフで、DAZNでも中継がある。
相変わらずの過密日程が続くが、カップ戦ではメンバーを落とすのか。それともノックアウトステージのためメンバーをある程度主力で戦っていくのか。格下とはいえ油断はできない。
今年も、応援していこう。
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