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芝生化のメリットデメリット

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芝生
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近年、学校の校庭緑化事業、さらには今まで砂や土(クレー)だったグラウンドを芝生化する自治体が増えつつある日本国内。

そんな芝生化にはどのようなメリットがあるのでしょうか?またどのようなデメリットがあるのか。

今回はそんな芝生について記事にしていこうと思います。

当たり前と思う方もいるかもしれませんが、改めてまとめていきたいと思います。

このブログの作者Ikumiはアーセナルで
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
気になる方々はぜひ過去の記事を遡ってみてください。
SNSも発信中。気になる方はぜひフォローを!
Twitter: @Ikumi_grounds

ブログの作者Ikumiより

芝生にするメリット

早速ですが、芝生化するメリットをご紹介していきます。最初に環境面について。後半にはプレー面についてご紹介していこうと思います。

環境面でのメリット

まずは環境面でのメリットをご紹介します。

砂埃がなくなる

まず初めに、学校の校庭近辺にお住いのある方はかなり迷惑を被っているであろう砂埃。もちろん近辺に住んでいる方だけでなく、利用する子供といった様々な利用者もプレーしているうちにいつの間にか砂まみれになっていることが。。

芝生化することによって、まずこの砂埃が飛散することが少なくなります。これは利用者や近隣住民にとってかなり大きなことではないかと思います。私が砂の学校校庭近くに住んでいたら、毎日洗濯物を部屋干しすることを考えると思います。

芝生にすれば、地面こそ砂地ですが、芝生があることでそれが砂埃のように毎日晴れの日に舞って迷惑になることはありません。ただし、芝生に年に数回ほど機械で砂を散布するタイミングがあるので、その時には気を付けなければなりませんが・・・

気温上昇の抑制

次いで芝生にすることによって、気温が上昇するのを抑えることができます。ただしこれは人工芝ではなく天然芝に限った話です。

砂地ですと、太陽から降り注ぐ紫外線や赤外線などが地面に反射して、気温の上昇や照り返しで眩しく感じます。しかし芝生であれば緑色ですので照り返しは砂ほどなく、さらには芝生にとって太陽光は命の源であり、その熱を吸収するため気温の上昇抑制に繋がります。

また、芝生は呼吸しているためどちらかといえば涼しく感じることも(厳密な原理は省略)。

冒頭でお話した人工芝ではこの効果は期待できません。人工芝はあくまでも人工物であり、天然芝のように呼吸し水を蒸散するような仕組みがなく、さらにゴムチップにより熱を持ってしまい、コンクリートと同じような暑さを感じる要因になります(近年ではこのゴムチップに変わってウッドコルクを使うケースもありいくらか気温の上昇を抑制できるようにもなってきましたが)。

そのため、「天然芝生化」は、真夏にスポーツを行う上でのコンディションの維持、暑さで体力を奪うのを多少妨げることができるといえます。

プレー面でのメリット

次はプレー面でのメリットについてご紹介していきます。

ケガの抑制

まずプレイヤーにとって最も大きな要因は、砂地に比べると大小さまざまなケガが防げることではないかと。

例えば、おそらく誰しもが学校の校庭で転んでしまい擦り傷を負ってしまったことはあるのではないでしょうか?芝生のグラウンドであれば、芝生がクッションになり砂の時ほど痛々しい傷にはなりにくい。また芝生のクッションがあるため、身体にとっても非常に負荷が少なくプレーできます。

ここで1つ、あまり知られていないことをご紹介。市民の方々が使うグラウンドではないが、プロが試合等で利用するスタジアムなど、特にサッカー、ラグビーにおいては、芝生上でのクッション性を数値化して提出することがあります。これを表面硬度などといった表現をするのですが、この数値が低いほどクッション性が高いことを意味しています。

ではなぜクッション性を重視するのか。サッカーやラグビーにおいて競りあう、タックルをするというのは1試合のうちに何度も行われます。その際に地面に倒れ込むことがあるでしょう。地面が硬いとどうなるか。必要以上に選手に負荷がかかりケガに繋がってしまう恐れがある、また、頭部から落下した場合には、その後の生活にも支障をきたす恐れがある。

こういったことを少しでも無くすように、現代では芝生上のクッション性を数値化してプレー面でのコンディションも整えています。

私はプロの使う練習場でもこのような数値は極めて重要な数値だと思っています。

もしかしたら、皆さんの応援するクラブの選手が、練習中にやけに大勢、何度も何度もケガをする要因は、こういったピッチコンディションにあるのかもしれませんね!

プレイングクオリティの向上

芝生でプレーすることによって、そのスポーツのプレイングクオリティが上がると私は思います。

例えば雨の日。砂や土のグラウンドでは、雨の日はグラウンドがぬかるみスリップするだけでなく、水たまりのせいでボールが止まるなどプレーができる環境とは言えません。

しかし芝生ではよほどの大雨でない限りプレーすることは可能です(管理の行き届いていないピッチでは少しの雨でも水たまりができてプレーできなくなるグラウンドもありますが・・・)

また、キックの質も向上するのではないでしょうか。例えば砂の上では地際にしっかりボールが乗っている状態で、芝生の上であればボールが芝生の上にあることで地際よりもやや浮いているような状態になります。これの違いは明白で、より正しいボールの蹴り方になると思われます。もちろん人によっては砂地でもしっかりとした技術を身に着けることができると話される方も見えますが、よりプロがプレーする環境で正しく身に着けていく方が、育成レベルでも能力の向上は速いと私は思います。当然ながら、どんな環境でも上手くボールを蹴る能力は大事だと思いますが。。

そもそもヨーロッパの舞台、日本国内でもプロスポーツの世界になると、芝生の上でプレーする機会しかないといえます。その大舞台でプレーするにあたって、子どものころから芝生でプレーできれば、より世界に通用する選手が生まれるのではないかと思います。

芝生にするデメリット

ではここからは芝生化のデメリットについて見ていきましょう。

管理費用

芝生化する最も大きなデメリットや負担としては、やはり管理する費用です。

砂のグラウンドに関しては、10数年に1度砂を入れる、排水改善を施すなど管理費用は極限まで少ないといってもいいのではないでしょうか。

しかし芝生に関してはそうはいきません。芝生の刈込、目砂散布、エアレーション、冬芝の播種、肥料散布、散水などなど、、、そしてその芝生を管理する人たちの人件費も必要です。

現代の日本のスポーツグラウンドにおいて、公共施設が多くを占めています。そのため地方自治体の協力なしにいいグラウンドはできないといっても過言ではないでしょう。そんな中で、皆さんが住んでいる自治体は税金を投じてグラウンドを作りたくなる環境になっていますか?

この問題に関してはまた後日「なぜ芝生のグラウンドは増えないのか」といった記事でご紹介したいと思いますが、自治体にとってリターンが少ない、費用対効果の表れないものに投じる余裕はありません。

もし皆さんの住んでいる自治体が、グラウンドが少ない、芝生のピッチが全くないという環境に住まわれているのであれば、もしかすると、今あるグラウンドに投じている費用に対して、管理技術が全く追いついておらず休館日ばかりになっていたりしませんか?

グラウンドは利用者がいてこそです。利用の制限ばかりのグラウンドは、ただの大きな芝生一面に広がる庭です。そこを理解しないと「芝生のグラウンド=管理費用が高く赤字」という固定概念に縛られている役所の人たちに負のイメージを持たれてしまいます。

担い手不足

この問題も深刻ですが、グラウンドキーパーの担い手が大きく不足していることです。

サッカー母国イングランドでは、この問題が特に如実に出ているといった記事を目にしたことがあり、数年後には大きな問題になりかねないとのことです。そのため様々なクラブの求人情報を見ていると、グラウンドパーソンの募集が出ていることがあります。

日本においても少しずつグラウンドキーパーという職業が知られるようになってきましたが、現実ではまだまだ人材不足といったところです。

グラウンドキーパーは造園業とは似ていますが異なります。常にスポーツによる利用があり、その利用によるダメージから芝生をどう回復させられるかが最も重要なポイントです。

また利用者の方々とコミュニケーションをはかり、芝生にとって最もダメージの少ない利用方法をお伝えするのも我々グラウンドキーパーの務めです。

グラウンドによっては、利用者が多くてダメージが多い、いつも同じ場所を使っててピンポイントでダメージが・・・など問題が多々あります。そこは、利用者の方々とコミュニケーションをはかり、芝生のグラウンドの使い方というものをお伝えしていく義務があります。その環境つくりは、年数こそかなり必要になると思います。芝生についてまずは地域のスポーツ団体も勉強する必要があるのではないでしょうか。

残念ながらグラウンドの少ない自治体には、このような芝生のことをしっかり伝えることができるグラウンドキーパーがおらず、ただのグラウンド担当者、管理者といった方々が自称グラウンドキーパーを名乗っているケースが多いです。この問題もまた別の記事で取り上げていきたいと思っています。

芝生を管理するだけがグラウンドキーパーの仕事ではありません。綺麗に管理するのはもちろんで、プラスアルファ芝生のことをしっかり利用者にお伝えできるのが、本当のグラウンドキーパーだと私は思います。

まとめ

今回は芝生かのメリットデメリットについて執筆させていただきました。

環境面やプレー面では非常にいいことが多いですが、一方で管理費用の面や担い手がいないといった問題もあります。

また、中途半端に芝生にしてしまい、管理が行き届かず疎かになってしまっているグラウンドも様々なところで私は見てきました。次回はそう言った管理の行き届いていないグラウンドについての記事を執筆予定です。そういったグラウンドでプレーすることによる選手への弊害もありますので、また次回の記事を楽しみにしていてください!

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