21-22シーズンプレミアリーグ第2節、8月22日に行われたウルブズとトッテナム・ホットスパーの一戦は、0-1でアウェイのトッテナム・ホットスパーが勝利を飾った。
試合詳細
フォーメーション

ウルブズベンチ
ルディ、↑83ヌーリ、マルケス、フーファル、ギブス=ホワイト、↑72デンドンケル、クンデル、↑83ファビオ・シウバ、カンプベル
スパーズベンチ
ゴリーニ、ドハティ、セセニョン、デイビス、↑90ウィンクス、ブライアン・ヒル、↑66ロチェルソ、↑71ケイン、スカーレット
スコアラー
トッテナム・ホットスパー
9:デレ・アリ(PK)
メンバー選考
まずは両チームのメンバー選考について見ていこう。
ウルブズ
ウルブズは前節のレスター戦より1枚変更。右ウイングバックのフーファルをセメドに変更してスパーズに挑んだ。
このポジション以外はメンバーは変わらず、おそらく今後はこのメンバーが主軸になってくるだろう。
ポイントはやはり開幕戦でも強度の高かった中盤のプレスからの鋭いカウンターだろう。モウチーニョとネベスを中心にプレッシングをかけ、奪ったら彼らの正確なパスを武器に前線へボールを供給していく。
そして頼りになるのは左サイドに入ったトラオレだ。トラオレサイドからの攻撃を中心に、クロスを上げる際にヒメネスだけでなく2人目3人目がどれだけ入ってこれるのかが重要になる。
トッテナム・ホットスパー
スパーズはエンドンベレがメンバー外、ロメロもケガとの噂でメンバー外になった。
前節メンバー外になっていたケインはベンチ入り。トレーニングに合流が遅れたことでスタメンでの出場を見送ったのか、それとも移籍の関係上なのか気になるところではあるが。
スパーズは前節からメンバー変更は無し。気になる右サイドバックは今節もタンガンガが出場。直前のトレーニングでソン・フンミンがケガをしたとの情報も出回ったがスタメンだった。ただし、脚にテーピングを巻いていたところを見ると、やはり何かあった可能性はある。
試合内容
試合全体を通して、スパーズが勝利できたことが不思議といっていい試合内容だった。
まずはスタッツだけを振り返っていくと、シュート数がスパーズ8本に対してウルブズは25本と3倍。支配率はウルブズ58%、パス本数、デュエルの勝利数ともにスパースを大きく上回っていた。
もちろんサッカーはスタッツだけではない。内容を軽く見ていこう。
スパーズは開始9分にスルーパスに抜け出したデレ・アリがGKに倒されてPKをゲット。これをデレ・アリ自身が落ち着いてゴールし幸先よく先制。
しかし出足こそスパーズが攻めている時間があったものの、15分以降はスパーズのチャンスが徐々に減っていく。結局37分のベルフワインからデレ・アリへのクロスまで決定機は訪れなかった。
その間ウルブズは左サイドのトラオレを中心に攻め込んでいく。このトラオレには非常に手を焼き、タンガンガがフィジカルバトルだけでなく、スピードでも振り切られ、タンガンガとホイヴィア、スキップの3人がかりで止めにかかるシーンがあるなど大苦戦を強いられた。
とはいえスパーズは前半押し込まれつつも無失点で乗り切り後半に。
後半もスパーズが出足はボールを持っていたものの、徐々に中盤を崩せずウルブズがボールを支配していく。すると集中力が持続しなくなってきたか59分にダイアーがボールを保持しすぎてドリブル突破をはかったがカットされてそこから縦一本のスルーパスを通される。ダイアーが抜けた穴をトラオレが上手く狙いフリーでボールを受けそのまま持ち込みシュートを放つも、ロリスが1vs1を制すビッグセーブでピンチを脱出。
すると64分にはベルフワインの決定機を決めきることができずスパーズは突き放すことができなかった。
そして66分にロチェルソが投入されると、徐々にスパーズも修正してきた。トラオレに入るボールが減り、決定機を作られにくくなった。その後は今シーズン初出場になったケインが71分に出場。そして80分にはこの日一番のハイライトになるであろうタッチラインギリギリの突破からケインにチャンスメイクするもGKに阻まれてしまう。
そして90分にウィンクスが投入されて試合を締めにかかりそのまま0-1で試合終了。
試合のポイント、次に向けて
この試合のポイント、気になった点を3つ挙げるとしたら、トラオレの突破力(中盤が手薄に)、ヌーノの試合中の修正力、ストライカーの不在の3点だ。
トラオレの突破力
この試合でもウルブズの左サイドに入ったアダマ・トラオレの突破力には目を見張るものがあった。
トラオレとはタイプが異なる選手であるが、スパーズが前節対戦したマンチェスター・シティのスターリングとグリーリッシュを封じたタンガンガでも、トラオレのスピードとフィジカルには大苦戦した。時にはスキップとホイヴィアの3人がかりで止めにかかるシーンもあったりなど、この左サイドからの突破力というのは、非常に脅威であった。
そしてスキップやホイヴィアもつられてしまうため、中盤が手薄になることがあり、ネベスやモウチーニョが比較的フリーになってしまうこともあった。結果的にこのトラオレ単体の突破力が、マークを集中させて他の選手がより自由に動きやすくなるなど、チーム全体にとってプラスの影響を与えていた。
しかしトラオレにも課題もある。トラオレはカットインからのシュートがあまり上手でない点だ。その点、そのプレーに関しては怖さを感じなかったものの、やはり縦へ突破しエリア横からのクロスボールはウルブズの攻撃の主軸だった。
そんなトラオレだが、ここにきて再びスパーズが獲得を狙っているといううわさが浮上した。以前も2年前ほどだったが、ウルブズとスパーズが対戦した時に、終わってからヴェルトンゲンを始め対峙したディフェンダー陣が軒並み獲得を上層部や監督に提言した噂が出ていたが、今回もそれに似たような展開だ。今回は選手たちからではなく、元教え子であるヌーノを始め、ベンチにいたパラティチからも推薦があったのではないだろうか。
私はトラオレの獲得に関しては、おおむね賛成ではあるが、優先して獲得するほどのポジションではないと思っている。優先すべきはこの試合でベンチにいなかった本職のCBの層をより熱くすることだと思うし、シソコやエンドンベレの去就が不透明な中盤の枚数、ケインの去就が不透明なFWの獲得を優先するべきだからだ。
とはいえこの突破力には非常にロマンがあった。見れるのなら選手層をそろえたのちに余裕があるなら獲得に乗り出してほしいものだ。
ヌーノの試合中の修正力
この試合では、前半頭こそスパーズは攻め込んでいたが、徐々に失速。後半も同じような展開になり、ロチェルソなど交代選手が入って少し建て直したように見えたが、終始非常に厳しい試合展開だった。
まだシーズンが開幕してリーグ2試合とヨーロッパのコンペティション1試合と合計3試合しかヌーノ体制で公式戦を行っていないため、この修正する能力に関してはまだそこまで大きく不安視することはないだろう。
この試合のような厳しい展開で試合中どこかで修正できるようにならなければ上を目指すうえで厳しくなるのは間違いない。修正するためにリーダーシップのある選手を獲得するべきなのかも考慮しつつ残りの移籍市場とともに見守っていきたい。
とはいえ、このプレミアリーグ2試合でクリーンシート、特に昨シーズン苦戦した後半終了間際の失点を今のところ無くせていることが、一番の収穫ではなかろうか。
ストライカーの不在
3つ目はストライカーの不在について。
やはりこの試合でも、前節のマンチェスター・シティ戦同様に純粋なストライカー不在を感じさせるシーンがあった。まず中盤からボールを繋いでいく際に、ポストプレーができる選手がいなかった点。ここがいなかったからこそ、苦し紛れにロングボールで逃げなければならず、相手にボールを回収されることが多かったのではないか。また、トップに位置してサイドからのクロスに合わせる高さやフィジカルといった脅威もどことなく少なかった。
決してソン・フンミンが悪いわけではない。ソン・フンミンは常に裏を狙う動きをして相手ディフェンダーを苦戦させていた。しかしソンの動きのみになりがちな攻撃は、時に単調ともいわれてしまう。
このウルブズとの試合でも、後ろからのボールがつながりにくく、3トップの誰かにボールが渡る時間というものが特に前半はほとんど制限されてしまっていた。
裏を狙うのが厳しい戦いになれば、おのずとスパーズは今節以上に苦戦することになるだろう。特にスパーズはここからワトフォードやクリスタル・パレスといった格下相手との対戦が続く。その中で引いて守る相手に対してどのように攻撃を組み立てていくのか、裏を狙うだけでは厳しくなってくる。
もちろんケインがこのポジションに入ることが好ましいが、もし万が一移籍するようなことがあればプランBを考えておく必要が出てくるだろう。誰かを獲得するのか、2トップにするのか、誰かをワントップとして大抜擢もしくはコンバートするのか。私はロチェルソをサイドに配置してそこから組み立てていくというのが、引いて守る相手には適しているように思うのだが、皆さんはどうでしょうか?
次のスパーズの試合
次のスパーズの試合は、日本時間8月27日金曜日の早朝3時45分からECLの予選でパコスデフェレイラとの2ndレグだ。前回対戦は0-1で敗戦している中で、ホームに迎えての一戦となるため、この試合では2軍以下ではなく1.5軍で来るのではないだろうか。
続くリーグ戦は、日本時間8月29日22時からホームでワトフォードとの一戦だ。中1日の試合になるため、この試合に向けてどれだけの選手を温存することができるのか、ミッドウィークの試合に注目である。
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