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【芝生管理の未来】気候変動・AI時代にグラウンズパーソンへ求められることは?

サッカー記事
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今回は芝生管理者、グラウンドキーパーやグラウンズパーソンに、今後どのようなことが求められるのかを書いていきたいと思います。

これから芝生管理者を目指したい方、そしてそれ以外にもサッカーやゴルフといった芝生の上で行うスポーツに興味のある方は、今後我々が何と戦っていき、どう対応していかなければいけないのか、多くの人に知っていただけましたら幸いです。

 

このブログの作者Ikumiはアーセナルで
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
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ブログの作者Ikumi

気候変動に対応する

真っ先に挙げられるものとしては、気候変動にどう対応していくのか

私の住んでいるイングランドでも、夏は暑くなってきているとのことで、今まで発生しなかった芝生の病気が発生するなど、少しずつ影響が出てきています。

しかし、ほかのヨーロッパ諸国では、芝生事態の品種を変える影響もあるそうです。

実際に先日私が参加したスイス・バーゼルでの芝生のイベントで、スペイン・セビージャのヘッドグラウンズパーソンの方が話していましたが、スペインでは2009年まではバミューダグラス(夏芝・暖地型芝と呼ばれる品種)を使っているクラブチームは0で、全て寒地型・冬芝を使用していたそうです。

しかし2025年には、1部2部両リーグあわせて約3割のクラブチームがバミューダグラスを採用しているとか。特に南部のクラブチームが採用し始めているそうです。

このように、国の中で芝生の品種を変えなければいけないことが実際に起こり始めてきています。

日本では長年夏芝と冬芝のオーバーシードを採用しているため、品種を変えることはまずないでしょう。とはいえ、夏、暑い時期が非常に長くなってきている昨今、今までの管理方法とは少しずつ変えなければいけなくなってくる未来も近いのかもしれません。

オーバーシードなど、基本的な芝生についてのことは、以前のブログで書いていますので、ご覧になってください。

芝生の疑問を解決!日本のピッチと海外ピッチのって何が違う?芝生の模様ってどうやってできる?
日本とヨーロッパ(主にプレミアリーグ)のスタジアムや練習場の芝生管理についてまとめました。 これを見て芝生に理解を深めていただけると幸いです。

特に私が日本国内で気になっているのは残暑。夏の暑さが長引き、そして一気に気温が落ち込むことがあれば、冬芝、特に初期生育が格段に難しくなってくるでしょう。

また、雨が降るときは何週間も続き、降らない時も何週間も続くといった天候不順も、芝生管理においては深刻な問題。

このあたりにどう対応していくのか、今後の芝生管理においては求められてくるところ。

余談ですが、このスペインの事例を聞き、スペインの芝生事情に非常に興味を持ったので、この冬にスペインに行ってみようかなと思っています。

特に南部と北部で育て方が違うとのことなので、北部は先日知り合ったレアル・ソシエダのヘッドグラウンズパーソンの方、そして南部はセビージャのヘッドグラウンズパーソンの方にお会いしに、それぞれのスタジアムを訪問したいと思いますので、こちらの続報もお楽しみに!

増え続ける試合数に対応する(サッカーの場合)

近年のサッカーで多くのサポーター、そして選手もたびたび口にするのが、試合数多くないか?という話。

収益を上げるという意味では仕方のないことなのかもしれませんが、まあ多いです。

試合数が多いということは、当然ながらそれだけ芝生を利用する頻度も多くなるということなので、いかに試合におけるダメージをコントロールできるのかが重要なポイント。

例えば、ゴール前が最もダメージが大きいので、試合前の練習時には、ゴールをずらした位置にもう1つおいて、基本はそっちで練習してもらうなど。

プレミアリーグにおいては、正規のゴール前を使用できる時間というのがきっちり決められているので、このようなリーグ全体でいかに芝生を保護していくのかというのも重要な要素だと私は思います。

ではなぜ、芝生を保護するべきなのか。根本的な部分に少しだけ触れます。

芝生は試合中、常に選手の足元を支えています。Goodな状態をキープするということは、選手のけがを防ぐことにもつながります。スリップしないようにすることやクッション性などは、芝生があるからこそ。

選手のけがをどれだけ防ぐことができるのか。試合数が増えるからこそ、我々の責任はより大きくなると私は思います。

試合以外でスタジアムを活用するために芝生をどう管理するのか考える

試合数が増えたとしても、スタジアムをいかに活用するのかという課題は残ります。

なぜなら1シーズンでもエミレーツスタジアムで、男子女子、アンダー世代などが使用したとしても年間50回前後あるかないか。

イングランドの場合は、シーズンオフには芝生を毎回撤去するので、その時期にコンサートを行ったり、イベントを行い、サッカー以外での収益も確保しています。

イングランドの事例に関しては、過去のブログで書いていますので、ご覧になってください。

スタジアムが収益を上げるにはどうするべきか?【イングランドのスタジアム運営方法を見てみよう】
日本国内でスタジアム建設に反対の声が上がる理由の1つに、税金が投入されるため。しかし黒字であれば問題ないはず。今回はイングランド4つのスタジアムの運営方法や収益のあげ方を紹介します。

日本でも近年、どうスタジアムを活用していくのかは、課題になってきていることでしょう。とはいえ、芝生に大きなダメージを与えるようなイベントを行って、その後試合で利用するまでに戻らないようでは、「競技場」としての意味をなさず本末転倒。

芝生管理側の意見もしっかり提示しながら、そのギリギリで収益を確保するように最大限芝生の維持管理に努める、これもまた今後求められることでしょう。

スタジアム内という話であれば、会議室としての利用や、企業の福利厚生の場として提供するなどの活用方法も大いにありです。

例えば、以前私が訪問したアンデルレヒトのスタジアムでは、スポンサー企業がボックスシートを確保し、ここにはその会社の福利厚生として社員に試合を観に行く権利があったり、はたまた取引先の企業の方々をお招きして一緒に試合観戦を行うといった活用がなされているそうです。(画像はアンデルレヒトのスタジアム内にある、コカ・コーラさんのボックスシート)

これは実際に行われているのか不明で、あくまでも私のアイディアになりますが、こういったスタジアムにボックスシートをスポンサー企業として確保しておくことで、ここで遠方の支店から来た社員とともに会議を行うなどの活用の仕方も、面白そうだと感じました。

AIや機械、データを上手く取り扱える知識と経験値

どの業界にも共通することですが、AIの発達、そして導入は今後ますます進んでいくと思われます。

そして気になるのは、仕事が奪われるのかどうか。

ゴルフ場ではフェアウェイの芝刈り等で無人芝刈機が使われていますが、全ての作業を機械やAIが行うことは、私は暫くの間は無いと思います。

フェアウェイで無人芝刈り機が可能なのは、刈り取った芝生を回収しなくても済むため。

アーセナルでも1つのピッチ上で無人芝刈機をデモで使っていますが、芝かすを回収するバケットがいっぱいになったら、結局人間が回収しています。

しかも機械本体の値段も高い。これなら人でええやん、というのが今の現状。

とはいえ、工業製品の発展は早い今、常にそういう訳にはいかないでしょう。

大事なのは、それらを上手く取り入れて活用すること。芝生管理において最も重要なのは、選手たちを守ることですから、どんな手段であれ最高のクオリティを提供できるなら、どんどん導入するべきです。

また、先日の芝生イベントでは、多くの企業が、いかにデータを駆使して最適な芝生管理を行うのか、そして日々の業務の効率化を図って、どれだけ芝生管理に向き合う時間を増やせるのか、このあたりを特に推し進めている企業が多かったように思います。

補修作業などは、まだまだ人がやらなければいけない作業なので、ここにどれだけの時間を費やすことができるのか。

反対に機械の管理や前回施肥をいつ行ったのかといったスケジューリングにおいては、データ化しておくことで、いつでもすぐにスマートフォン上で確認できるようにしていて、それを作業員全員で共有することができるといった旨の発表が多かったように思います。

作業する人が増えれば増えるほど、情報の共有はカギになってくるので、これらで業務効率改善が行えるようになるのは、芝生のコンディションを維持するうえで、今後重要になってくることでしょう。

このように、いかに芝生をよくするために、何をどのように導入するのか。常に新しい情報に目を向けて、柔軟な姿勢で試してみることが重要です。

まとめ

まだまだ他にも私が見落としている、今後芝生管理者に求められるポイントはあることでしょう。

現状だと、気候変動が最も頭を悩ませているところで、日本国内のみならず、世界中で芝生管理者に求められることかと思います。

また、いかに再現性の高い芝生のクオリティにできるのかというのも重要で、そのためにデータやAIを駆使して芝生管理に取り組むのも今後は目を逸らさずにはいられません。

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