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プレミアリーグの芝生について

サッカー

今回は、久しぶりに私の本職であるグラウンズパーソン(グラウンドキーパー)らしい記事を書きたいと思います。

その内容はプレミアリーグの芝生についてです。多くの方が昨今のプレミアリーグを観るように、そして現地へと観戦する方が増えてきた中で、試合中、スタジアムツアー中に必ず目につくが芝生ですね!

よく質問のメッセージの中で、そして芝生やサッカーに全く興味のない友人からあの芝生は人工芝ですか?といった質問を受けます。確かにすごく綺麗に見えるため、そう見えてしまう方もきっといることでしょう。

今回はその芝生、そしてプレミアリーグの芝生にフォーカスした記事を今回書いていきます。

どんな技術、どんなものなどを使ってキレイに維持しているのか。最後までぜひご覧ください。

このブログの作者Ikumiはアーセナルで
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
気になる方々はぜひ過去の記事を遡ってみてください。
SNSも発信中。気になる方はぜひフォローを!
Twitter: @Ikumi_grounds

ブログの作者Ikumiより

芝生の種類

ではまず芝生の種類から書いていきます。

人工芝なのか天然芝なのかというところからスタートしていきます。結論から申し上げますとプレミアリーグのスタジアムにおいては、ほぼ天然芝という言い方になるかと。

どういうことかといいますと、今現在イングランドの多くのクラブが、スタジアムそして練習場にハイブリッドターフというシステムの芝生を採用しています。

簡単に言うと、全体の天然芝に対して大体5%くらい(Jリーグの規定)の人工芝繊維を混ぜているといった感じです。

ハイブリッド芝(ハイブリッドターフ)ってどんなもの?
近年日本でも導入されたハイブリッドターフっていったいどんなもの? その疑問をここでは解決!!

この記事でハイブリッドターフについてどういう利点があるのかなど以前詳しく書いていますのでご参考までに。

とはいえ、100%の人工芝のように芝刈りをしなくてもいいというわけではなく、普通の天然芝と同じように芝刈り、散水、肥料散布等々、様々な手間が必要です。

だからこそ、人工芝とは異なり、我々のようなグラウンズパーソンが必要ともいえます。

芝生の草種

天然芝ということが分かれば、次は芝生の草種について。

日本と多くのヨーロッパの国々では芝生の草種は異なるというのは、以前の記事でも書いてきました。

私のいるプレミアリーグでは、全てのクラブを訪問したことがあるわけではありませんが、多くのクラブではペレニアルライグラスという種類の芝生を採用しています。いわゆる寒地型、寒さに比較的強い芝生の種類です。

これに人工芝繊維を混ぜてピッチを形成しています。

芝生の長さ

次に芝生の長さについてご紹介します。

日本、Jリーグにおいては芝生の長さに関して、少なくとも私が日本にいた際(2022年4月)には主な規制は無かったはずです(確認不足でしたらすみません)。

しかしながら、昨年行われていたFIFAワールドカップカタール大会では20-30mm以内というFIFAの規定が存在していました。

カタールワールドカップ試合会場の芝生について調べてみた
カタールワールドカップ直前!試合会場の芝生について調べてみた! どんな芝生が使用されているのか。日本に有利?不利?芝生目線から書きました! 最後にはお知らせも!

プレミアリーグでも同様に30mmを超えてはいけないというルールが存在しています。これは試合前にマッチオフィシャルが必ずチェックします。当然ながらピッチ全体が同じ長さでなければなりません。

とはいえ20-30mm以内であれば問題ないというルール上、例えば30mmにしてロングボールが止まるように、といった戦術も採用できないわけではありません。

コラム:なぜ芝刈りを行うのか。芝生が及ぼすサッカーへの影響
芝生とサッカーの戦術について書かせていただきました。ただ緑なだけでなく、実はサッカーの戦術にもかかわってくる大事なファクターであることを皆さんに知っていただきたいです。

以前のブログでは、芝生とサッカーの戦術について書いたことがあります。レアル・マドリーとバルセロナなどこの芝生に関してのめぐり逢いは過去に何度かありました。

ヒーティングシステム

多くのスタジアムではヒーティングシステムを採用しています。

これは、イングランドの寒い天候の中でも芝生がある程度育つように土壌中にヒーティングできるテクノロジーを採用して、寒い中でも育つようにという技術です。

多くの場合は、温水を土壌中にあるパイプに通して熱を出し、それで土壌中を温め、芝生の根の成長を促進させます。

ただし、以前SNSで少し見かけたのですが、あくまでの芝生の成長を手助けするテクノロジーであって、雪を解かすためのテクノロジーではありません

あくまでも土壌中を温めるテクノロジーで、表面を温めるテクノロジーではないので、雪をすぐに解かすことはできません。

そのため、雪の中の試合で雪が積もることを解消できるわけではありません。皆さんは、少し雪が溶けるのが早いなーくらいのイメージでいいかもしれませんね。

模様

以前までは、芝生の模様に関して自由にできていました、時には丸、時にはクラブのエンブレムなど。

しかしながら、2016年ごろから芝生の模様は副審がオフサイドラインを見やすいように等の理由から短尺(68m)で見えるように模様を付けています。今ではすっかり縦ラインが目立つようになりましたね!

芝生の疑問を解決!日本のピッチと海外ピッチのって何が違う?芝生の模様ってどうやってできる?
日本とヨーロッパ(主にプレミアリーグ)のスタジアムや練習場の芝生管理についてまとめました。 これを見て芝生に理解を深めていただけると幸いです。

以前、このブログで芝生の模様に関しては書きましたので、どのように模様ができているのかなど芝生に関する疑問はこちらで解決できます。

グローイングライト

グローイングライトとは、芝生の生育を手助けするライトのことです。もしかしたら一度はお見掛けしたことがあるかもしれませんが、こんな感じのものがスタジアムの芝生の上にあるのを、スタジアムツアーなどで見たことはないでしょうか?

これは、日本でもスタジアムで使われているところもあり、例えばスタジアム内では日光が1日中当たらない箇所も出てきます。そういった箇所や、ゴール前といった最もダメージの多い箇所に設置し、芝生の生育を手助けしています。

もちろん効力は太陽の光に及びませんが、それでも1日中光を当てて成長を手助けできる、またイングランド特有の晴れの日が少ない天候においては貴重なテクノロジーです。

ただ、これは非常に重いです。少なくとも私1人では少しだけずらすことはできても、長い距離を動かすのもしんどいです。

そしてそれは芝生のタイヤ部分にも同じことが言え、このタイヤが無くなったバージョンがトッテナム・ホットスパースタジアムで採用されているグローイングライトで、このテクノロジーは最先端です。

スイッチでライトを取り出せるだけでなく、芝生の上にタイヤがないため1か所に負荷がかからないでピッチ上全てに光を当てることができ、そしてなにより光を当てながら芝生の刈込などの管理もできるというのは、発想が最先端といえるでしょう。

コラム:最先端の技術が詰まったトッテナム・ホットスパースタジアムの全貌【芝生編】
トッテナム・ホットスパースタジアムの芝生にフォーカスしました。どのような機械を使っているのか気になることが多々あると思いますが、これにて解決!!

以前トッテナム・ホットスパースタジアムに関する記事を書きましたので、そちらで芝生に関しての特集を書かせていただいています。

ちなみに芝生が何故、太陽光や光を当てるといいのかといった理由は説明しなくても大丈夫ですよね?笑

ライン引き

ラインは、スタジアムの場合は試合の時には雨天を除き前日に引いています。

線は基本的に人力で引いています。上書きするときもありますが、大事な試合の前や線が薄くなってきたときなどの場合は、ロープを引っ張ってそのロープに沿って線を引いています。

機械はこういった機械を使用します。

ただ、近年では人力ではなく、GPSを駆使してライン引きを行う機械も登場しており、昨年の11月にイギリスのバーミンガムで行われた芝生の展示会では、このGPSのライン引きマシーンが数多くありました。

メリットとして、例えば、これがあれば芝生の専門家でなくても、いつでも簡単に芝生の上に線を引くことが可能です。日本国内ではまだ私は見かけたことはありませんが、以前伺った話では採用している場所もあるとか(日本の暖地型芝生との相性が微妙という話も・・・詳しい話に興味があれば連絡ください)

また、ロープを使う場合は、ロープを引っ張る→ラインを引く→ロープを回収するという手間が必要で、そしてもし1人でやろうとするとかなりの時間が必要です。2,3人はどうしても体力的な面や時間的な面を考えると必要です。大体2時間程度ですかね。

なのでこれはライン引きに必要な時間を削減でき、そしてその削減した時間や人手を他の作業、芝生の補修や刈込に当てることができます。そしてこの機械自体はだいたい1面1時間あれば作業が終わります。

機械が線を引いている間は、特にやることはないので、芝生の補修作業もできたり、片手間でライン引きができるのも1つの魅力かと。

Jリーグクラブ、スタジアムの管理者、そして多くのグラウンド管理の皆さん、1クラブに1台、1練習場に1台、スタジアムに1台いかがでしょうか?笑。

私の知っているところは日本へ進出していませんが、1つのマーケティングとして日本も考えていると話していました。もし要望が多ければ、日本でも見られる日が来るかもしれませんね!連絡くだされば繋げます笑

まとめ

イングランドでは、絶えず1日中の天気が変化し、晴れていたかと思えば曇りになり雨が降り、そして気が付いたら晴れているなどの天候が日常に存在しています。

そんな中でプレミアリーグ全クラブのスタジアム、各々の練習場を含めて、ただでさえ過密日程であるにもかかわらず、芝生にとってひどい天候にもかかわらず緑を保ち続けるというのは、容易ではないと感じます。

少し前までのプレミアリーグは、かなり泥まみれというイメージがありましたが、近年ではその様相もなくなってきましたね。その背景には、こういったグラウンド管理のテクノロジーの進歩、グラウンズパーソンたちの技術力の向上などがあるということを、今回のブログを通して多くの方々に知っていただくことができたら幸いです。

私自身、そんな環境で仕事ができているのというのは、非常に誇らしいですし、より多くのことを学んでプレミアリーグ全体、そしてクラブに貢献できるように努力していきたいと思います。

私は過去に何度も芝生についての記事を書いてきましたが、芝生がいい時は多くの方が誰も触れず、悪い時は袋たたきに合う。そんな芝生業界です。

今後ともよろしくお願いいたします。

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