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芝生を育てるライト、グローライトってどんなもの?コストは?本当に育つの?

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サッカー
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先日実はエミレーツスタジアムに久しぶりに伺った際に、新しくグローライトが導入されていました。

今回はそのライトについて、そもそもいったいどういうものなのか?いつ使うの?どこに使うの?機能は?コストは?そして最新のライトについても紹介したいと思います!

 

このブログの作者Ikumiはアーセナルで
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
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ブログの作者Ikumiより

そもそもどんなやつなの?

そもそもグローライトがどんなものなのかご存じの方もいると思うので、改めてご紹介。

これです!日本国内のいくつかのスタジアムで、このようなライトを見かけたことがある人もいるのではないでしょうか?

これで光を当てて芝生の成長を促しています。

機能

このライトが持つ機能は、2つあります。

1つは光を照らすことです。光を照らすことによって、芝生の光合成を促進させて、成長できるようにします。

もう1つはヒーター機能です。少し前のライトですと、光の部分そのものが熱を持つことで、それがヒーターとしての役割を果たしていました。気温は芝生の成長にとって大事な要因の1つですからね。

しかし、最近の新しくできたグローライトでは、LEDを使用していて、LEDは皆さんがご存じの通り、熱をほとんど発生させません。

そこで、熱源をライトを交互に配置することによって、最近のライトではヒーティング機能もできるようになっています。

この赤い光の部分が、その熱源です。

どこで、どんな場面で使うのか?

グローライトを設置する主な場所としていくつかあげますと、

1つはダメージの多い箇所です。例えばゴールキーパーの立つゴール前であったり、ペナルティエリア内であったり、はたまた試合前のアップで集中的にダメージを受けたところなど、そういった箇所に設置します。

ちなみに、先日エミレーツに伺った際、エミレーツスタジアムのヘッドグラウンズパーソンの方とお話しましたが、彼は試合前のアップの場所をどこでやっているのか常にチェックしていて、試合後にそこに置くように指示を出していました。試合前の見ている段階でも、グラウンズパーソンのお仕事は始まっています。

もう1つは日当たりの悪い箇所です。屋根のあるスタジアムの場合ですと、イギリスも日本も冬場にはほとんど太陽の光が当たらない箇所が存在します。

そういった箇所には、こういったライトを置くことで芝生の生育を促します。

私の見解では、屋根を付けるスタジアムを作る場合には、この装置がないと正直かなり厳しいと思っています(もし日本でも秋春制になるのであれば、真冬における芝生をどうしのぐのか気になります。まあ雪をどうするのかを考える方が先か)。

ちなみに、タイヤの付いたものがほとんどですが、トッテナム・ホットスパースタジアムのグローライトは、タイヤがありません。

左右から出てきて、ピッチ上に手で動かすことなく、機械で操作できます。

いつも思いますが、このスタジアムを作る段階で芝生の事を考えた装備を導入するというのは、本当に素晴らしいと思いますし、私ではこの発想に至ることは絶対に無かったので、考えた人は本当に天才だと思います。

そんなトッテナム・ホットスパースタジアムの芝生について知りたい方は、こちらのブログに書いてあります。

コラム:最先端の技術が詰まったトッテナム・ホットスパースタジアムの全貌【芝生編】
トッテナム・ホットスパースタジアムの芝生にフォーカスしました。どのような機械を使っているのか気になることが多々あると思いますが、これにて解決!!

本当に効果があるのか?

写真でお見せするのは難しいですが、効果はあります。

その部分の芝生が伸びていたり、少し他の場所と比較して緑色が濃くなっていたりと、しっかりと生育がされていることが分かります。

何故ピンク色なのか?

ピンク色である理由を説明するためには、まずは植物がどういう色を求めて使っているのかを理解する必要があります。

SGLシステム |光スペクトルに関する当社の研究の洞察 (sglsystem.com)

これは植物が光合成で利用できる光を示した図で、上の矢印の範囲内である400nm~700nmという波長の光だけを多くの植物は利用できます。

そしてこの図にある縦軸は、光合成の効率の良さを示したものになっていて、赤色の光が最も効率よく光合成に利用できます。

ちなみに葉っぱが緑色に見える理由というのは、この光と光合成をおこなう葉っぱの内部の構造によって説明が出来ます。

葉の中で光合成をおこなう場所は、光合成色素と呼ばれるもので、主にクロロフィルがあります(光合成色素の話を長く書くと、本題から反れるのでここでは省略)。

クロロフィルは赤色の光と青色の光を多く吸収します。しかし緑色の光に関しては、赤色や青色ほど効率よく吸収しません

吸収しないということは光を反射しているということで、葉っぱが緑色に見えるというわけです。

ちなみに日本では秋に紅葉といって、山の葉が赤色や黄色に変わりますが、これは植物の葉の中でクロロフィルの割合が減ったことによって、他の色を反射させている色素(カロテンなど)が目立つようになって、緑色ではなくなります。

少し話が反れましたが、このように、赤色や青色を光合成に使っています。

ではなぜ、青色ではなく赤色系の色を使うのか

このグローライトを開発した会社の研究によりますと、赤色95%、青色5%で光を混ぜたときが、一番太陽光の光の割合の時の植物の根や葉の生育に近かったそうです。

じゃあ太陽光のような白色系の光でもいいのでは?と考える人もいると思いますが、消費電力という面においては、この赤色95%、青色5%の割合が最も使うエネルギーが少なくて済むという結論になったそうです。

という理由から、最新のグローライトは完全な赤色ではなく、少し青色が混ざったピンク色のライトを使用しているということが分かります。

ちなみにこの光、近くで見るとめちゃくちゃ眩しいです!

最新のグローライトには、どんなテクノロジーがあるか?

では最新のグローライトは、どんなことが出来るのでしょう。

まず1つは、先ほどから説明している通り、このピンク色の光を使って、植物の成長を促進させます。最も効率よく利用できる光を使うことで、夜間であっても、昼間に曇りや雨で太陽光が当たらないときでも光合成をより効率よくできるようにします。

2つ目は、これも先ほど説明しましたが、温度を上げることが出来きます。植物にとって気温というのは、光や水と同じくらい成長に大切な要因です。

そして温度に関して言うと、最新のグローライトは、設定した気温に到達した場合、自動的にヒーティング機能をオフにして、省エネルギーモードにしてくれます。

反対に、気温が低くなってきた際には、ヒーティング機能が自動的にオンになるという優れモノ。

3つ目は、自分たちがピッチ上のどこに何分置いたのかというタイマー機能を使えます。

モニターの中にはピッチを分割した図があり、どれだけの時間そこに置いていたのかなどを可視化できるようになっています。

コストは?

さて、気になるコストです。残念ながら会社のページやパンフレットには価格は書いておらず、おそらく公表していないと思われるため、ここでは書けません。

ただ1つ言えるのは、高額です。

ちょっと芝生悪いから、あそこのスタジアムはライトを買った方が良い。なんてことを軽々しくいえるような金額ではないことだけお伝えしておきます。おそらく皆さんが今想像している金額よりもずっと高いです。

それから、ランニングコストもそれなりに高いです。LEDだけであれば、ご存じの通り家庭でも使われるレベルですし、通常の電球よりも電気代が安く済みますので、ランニングコストは少ないです。

ただ、ヒーターが付く場合や、従来のライトにあった電球自体が熱を持つ場合には、かなりの電気代がかかります。熱を放つものは一番電気代がかかりますからね。

このコストをなんとか抑える技術や研究がもっと進むことを祈ります。

今の芝生業界では、ヨーロッパに拠点を構えるグローライトの会社がシェアのほとんどを独占しているので、個人的には日本の企業であればコストを抑えたりと、他社と競争できるだけの技術を持っていると思うので、頑張ってほしいです。

まとめ

今回はグローライトについて説明してきました。

なんでこのピンク色のライトがスタジアム内、そして芝生の上に置いてあるのかといった理由が、このブログを見て少しでも理解していただけたのであれば幸いです。

今後もそういった芝生に関してのことを発信していきますのでお楽しみに!

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