前回ブログをたくさんの方が見てくださり、好評だった芝生の病気のお話をもう少し深く掘り下げていこうと思います。
今回もボスから楽しみにしてるぜ!という宿題の下、本を貸していただき改めて自分の勉強もかねておさらいしています。
前回のブログはこちらです。
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このブログの作者Ikumiより
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今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
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病気になるメカニズム
まず病気になるメカニズムをみていきます。
基本的に、以前お話ししたように健康な状態では病気になりません。そしてこちらも以前のブログで書きましたが、病気になる条件には水分などの環境的要因がかかわっていることもお伝えしましたね。
しかし、環境的要因が完全に悪かったとしても、病気になるというわけではありません。
簡単に図で説明しますと、このような感じです。
例え植物の状態と環境的要因がすこぶる悪かったとしても、その土地に病気の元になる菌がいなければ、そもそも病気は発生しません。
また、どれだけ病原体がたくさんいて環境的要因が悪かったとしても、植物体がすごく強ければ病気は発生しません。
これらの3つの条件が最悪な場合に、植物は病気を発症します。
病気の発症まで
といった点から近年では、そもそも植物が強ければ何も問題ないな!という感じで、病気に強い芝生の品種というのも年々登場続けており、それらを使うことで病気の発症のリスクを抑えることもできます。
ちなみに、播種後の植物が一番弱そうなのに病気にかかりにくいのは、初期には土壌からの栄養分ではなく種からの栄養分を使用するためです。どういうことかというと、病原体の多くは根から水や栄養分を吸収するときに一緒に植物体内に入ってきてしまうケースが多いからです。
根の機能を使う前であれば、そもそも根から吸収することはありませんからね。この病気を発症する菌は、根から吸収するときの他に、植物の葉や茎の切れ口などから植物に侵入してきます。
ですので、芝生において葉や茎からの病気の侵入という観点だけで見たときには、芝刈りというのは非常に悪い影響を与えます。そのため、この場合は芝刈り機の切れ味が重要になってきます。
切れ味が鋭い場合は、葉の断面がまっすぐ切れるため、切れ口の治りも早く、病気が侵入する隙を与えません。
しかし今回病気を発症した箇所の周辺の芝生を見るとわかるように、ちょっと白っぽくなり繊維が出ていることが確認できますね。この状態ですと、比較的治りも遅く、病原菌にとって容易に侵入しやすい状態と言えます。
よく見ると、芝生の葉の先端が白っぽい
人間にとって身近に例えると、かさぶたになるような傷口よりも、スパッと切れ味の良いもので切れた傷の方が治りが早かったりしませんか?
1日に8面以上、約10万㎡絶え間なく芝刈りをしなければならない芝刈り機の刃にとって、最後の方になるピッチは、切れ味も落ちてきますね。
そして、こういった傷口から侵入して、植物の状態や環境要因などが発症しやすい条件に重なった結果、この写真のように病気が発症してしまうという感じです。
病気の広がり方は?
病気の広がり方にはいくつかあります。代表的なのは水ですかね。
先ほども書いたように、病原体も水とともに植物体内に吸収されるので、水を移動することが出来ます。また、多くの菌は湿った環境を好みますので、容易に増殖します。ですので、水のやりすぎはNGというわけです。病気が発症した段階で、散水には十分に注意しましょう。
他には、何かを媒介して移動する方法です。例えば芝刈り機もそれになりえますし、人間の靴もそれになりうることもあります。
例えば、Aのピッチでは病気が出ていないが、Bのピッチで病気が出た場合。Bのピッチを芝刈りした後にAのピッチに行く場合には、病原菌を持ち込む危険性もあります。
また、皆さんの少し身近なところでいくと、天然芝のピッチでサッカーをプレーしたことのある方の中には、スパイクやシューズを消毒してからピッチに入った経験がある方もいるのではないでしょうか?
これは不特定多数の方がどこのどんな環境でプレーしたかわからないので、その方々のシューズが病原体を媒介する恐れがあるため消毒して少しでも芝生へのリスクを減らしています。
もちろん風や虫などの自然要因も媒介する要因になりますね。
まとめ
今回は、病気のおおまかなメカニズムから発症まで、発症してからのことについて書いてきました。
一番は発症しないようにどうしたら抑え込むことが出来るのか、といった病気をコントロールすることが重要です。しかし病気になってしまった場合には、焦ることなく最小限の被害で抑えることも重要です。
今回ブログを見てくださったサッカープレイヤーの方々は、今後もし天然芝のピッチでサッカーをする機会があった際、そこの会場が消毒液による消毒をマストとしているのであれば、必ず消毒液につけるようよろしくお願いいたします。
病気にならないように、様々な工夫を各会場のグラウンズパーソンたちが模索していますので、少しでも皆さんもご協力していただけますと幸いです。
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