スポンサーリンク

芝生の病気のお話(Red Thread)

PR含む

このブログはプロモーションを含んでいます

芝生
この記事は約6分で読めます。

ヨーロッパサッカー観るならU-NEXT

スポンサーリンク
U-NEXT

たまには芝生管理者、グラウンズパーソンらしいことを書こうかなと思います。

今回は芝生の病気に関してのお話です。Red Thread、日本語では赤葉腐病という病気をアーセナルトレーニングセンターにあるリハビリ専用の芝生ピッチで見かけたので、今回は病気についてです。

このブログの作者Ikumiはアーセナルで
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
気になる方々はぜひ過去の記事を遡ってみてください。
SNSも発信中。気になる方はぜひフォローを!
Twitter: @Ikumi_grounds

このブログの作者Ikumiより

芝生の病気とは?

まず前提として、芝生に関わらず、植物にも我々人間や動物のように病気が存在しています。

感染する条件も似たようなもので、芝生が弱っているときであったり、未熟で未発達な状態であったりしたときに病気にかかりやすいです。

また、土壌の状態が健康な状態でないときにも起こりやすいです。例えば、排水不良であったり、日当たりが悪かったり風通しが悪い場合には表面が乾きにくかったり、はたまた芝生の刈カスが堆積していたりと。

そういった芝生に対して悪条件が揃うと、様々な病気が発生します。

一度病気が発生すると、どんどん広がっていってしまいますので、対策を打つ必要がありますね。

予防策は何かある?

土壌環境

こういった土壌環境は、通常の農業では、収穫物を収穫後に畑を耕すという作業で土壌環境を大きくリセットできますが、芝生ではなかなかそうはいきません。

ただ、イングランドのほとんどのクラブ、また私のいるアーセナルでは、シーズン終了後にリノベーション作業といって、芝生の表層を取り除いて土壌を健全な状態にリセットし、そして新鮮できれいな砂を新たに追加してそこに芝生の種を播種して、1から生育させます。

どれだけの金額をかけているか少しだけ伺いましたが・・・芝生に対しての規模の大きさを感じました笑

対して日本では、毎シーズンリノベーションをできるほどのお金がないというのも現状です。ですが、コアリング、エアレーションといった作業で土壌中の環境の改善を図ることが出来、これらをタイミングと回数を適度に行うことで、健全な状態を保つことができます。

写真はコアリングの様子です。

とはいえ、やはり数年に1度はリノベーションをやった方がいいと私は思います。

写真は同じピッチで、芝生を一度剥いでから新しい芝生の種を播種し生育させています。

日ごろからできる対策は?

日ごろからできる対策として、適度な刈込で風通しを良くしたり、日当たりを良くしたりすることで、表層を乾燥させ病気を発生させにくくすることもできます。

木々によって日光が遮られないようにそういった木のトリミングであったりも、景観を含めて重要かと思います。

そしてこれは少しシビアですが、散水のタイミングも非常に難しいです。

多すぎると先ほどもお伝えしたように表層が乾燥しなくて病気の発生の原因に、少なすぎると今度は芝生が成長しにくくなる、最悪枯れてしまうといった原因にもなるので、散水は単純な作業のようで実はタイミングが難しかったりもします。

ですので、私はイギリスの冬場の雨の多さとこの乾燥しない寒さで、よくこの綺麗な状態をいつもキープしてるなと、感心しながらこの1年間は学びながら仕事をしていましたね。

あとは肥料のタイミングや栄養バランスも大事です。人間も食生活に偏りが生じると病気になってしまいますが、植物もその要素が多すぎたり少なすぎたりすると、同じく病気になります。

ですので、ただ単純に散水して肥料を与えるだけでなく、適切なタイミングと量が芝生にとって病気を防ぐ予防になったりします。

化学的な方法

この方法は、一番早くて目に見えて効果が分かりやすいと思います。人間にも薬があるように、植物にも殺菌剤と普段呼んでいる薬があります。

使うタイミングとしては、病気を見つけたすぐというのが、最も被害を最小限に防ぐことが出来ます。

他には予防散布、人間でいう予防接種的な意味合いで比較的病気の出やすいシーズン前に予防してしまおうということも。ただし、本当にその病気が発生するのか分からないので、私はあまり好きではないです。

というのも、殺菌剤はお値段が高いです。できればもったいない使い方は、お財布と環境のためにもあまり使いたくないなーというのが正直なところ。ちなみに殺菌剤は、良い菌も悪い菌も消えてしまったりするので、土壌環境にもムムムというのが感想です。

ちなみにアーセナルトレーニングセンターでは、オゾンを使っています。SeeGrow Solutionsさんのものを使って予防や対処をしています。

今回見かけた赤葉腐病(Red Thread)って?

さてさて、タイトルにもあるRed Threadについてです。

葉の先端が赤くなるのが特徴的ですね。夏の暖かくなってきたシーズンに見かけます。

ただ、私は日本では見掛けたことはないですね。比較的涼しい環境でなおかつ冬芝で多く発生するので、私がいた名古屋や岐阜はその環境とは真逆でしたから笑。

それに、その時期には私のいた環境では冬芝はどんどん消して、下にいる夏芝に切り替えていく必要があったので、この病気は見かけませんでした。

芝生に関しての基礎知識などは、以前私のブログでも紹介してますので、こちらを参考に。

芝生の疑問を解決!日本のピッチと海外ピッチのって何が違う?芝生の模様ってどうやってできる?
日本とヨーロッパ(主にプレミアリーグ)のスタジアムや練習場の芝生管理についてまとめました。 これを見て芝生に理解を深めていただけると幸いです。
コラム:なぜ芝刈りを行うのか。芝生が及ぼすサッカーへの影響
芝生とサッカーの戦術について書かせていただきました。ただ緑なだけでなく、実はサッカーの戦術にもかかわってくる大事なファクターであることを皆さんに知っていただきたいです。

しかしアーセナルトレーニングセンターでは、やはり夏芝は使わず冬芝のみですし、比較的涼しいですので、どうやら今回発症したようです。

ただ、そこまで大きく気にする病気ではないかと。これは肥料分、特に窒素が不足した場合に発生しやすいので、しっかり窒素肥料を与えてあげれば、回復も早いです。

ではなぜ肥料をあまり与えていなかったのかというと、もうすぐリノベーション作業が始まりますし、この時期このピッチは誰も使わないからもったいないですよね。

私としては、いい勉強になりましたので、ありがたいですね。

これからも病気を見つけたら共有します

これからも今回のように病気を見つけたら共有していこうかなと思います。

ようやく芝生管理者の日記のようなブログになってきましたね。

ちなみに、今回のブログの発案者はアーセナルトレーニングセンターのヘッドグラウンズパーソン、私のボスが「ブログを書くのが今日の宿題ねー」といった感じでご依頼をいただいたので、書かせていただきました。

チームのみんなから、英語でも書いてくれよと言われることもあるので、今度は英語で書くのもチャレンジしてみようかなと思います。

I will try to write in English next time.

コメント

タイトルとURLをコピーしました