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【25-26シーズン】芝生から見るプレミアリーグ:ハイブリッドターフの違いがプレーに影響するのか?今年のエミレーツスタジアムは一味違う?

アーセナル
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早くも私にとって4シーズン目となるプレミアリーグが、まもなく開幕します。

過去には毎シーズン初めに、芝生から見るプレミアリーグシリーズを書いてきましたが、今回も最新情報を皆様にお届けして、プレミアリーグ1.1倍くらい、面白く観戦する芝生の知識などをお伝えできれば良いなと思います。

過去2シーズンの芝生から見るプレミアリーグのブログは、気になる方がいらっしゃいましたら、こちらからどうぞ。

芝生からプレミアリーグを1.1倍楽しくする
23-24シーズンのプレミアリーグは、8月第2週から開幕です! 今回は、そのプレミアリーグを1.1倍とほんの少しだけですが、少しでも面白くみなさんに観ていただくために、芝生から見るプレミアリーグと題してお届けしていこうと思います! ちなみに・・・
24-25シーズンプレミアリーグ開幕前芝生ニュース
いよいよ24-25シーズンプレミアリーグが開幕。 今年も昨シーズンの開幕前に引き続き、芝生という視点からプレミアリーグをちょっとでも面白くみえるニュースをご紹介。 昨シーズンの内容はこちららどうぞ!   ブログの作者Ikumiより (ads・・・

それでは、本題へどうぞ!!

 

このブログの作者Ikumiはアーセナルで
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
気になる方々はぜひ過去の記事を遡ってみてください。
SNSも発信中。気になる方はぜひフォローを!
Twitter: @Ikumi_grounds

ブログの作者Ikumi

24-25シーズンGrounds team of the seasonの受賞者は?

まず最初は、24-25シーズンGrounds team of the seasonの受賞者をおさらいしましょう。

以前のブログでも書きましたが、このGrounds team of the seasonというのは、日本でいうところのいわゆるベストピッチ賞のようなもので、そのシーズンのスタジアムのピッチにおいて、最も優れたグラウンズチームに贈られる賞のことです。

過去の受賞チームは以下の通り。

2014/15 Arsenal/Manchester United
2015/16 Aston Villa
2016/17 Manchester United
2017/18 Watford
2018/19 Manchester United
2019/20 -(パンデミックにより無し)
2020/21 Manchester United
2021/22 Tottenham Hotspur
2022/23 Leicester City
2023/24 Aston Villa

本題の、24-25シーズンの受賞者は、ウエストハム・ユナイテッドのホームスタジアムである、ロンドンスタジアムが受賞しています。

ロンドンスタジアムは、開場してから初となる受賞で、ここ10年を見ても、ウエストハム・ユナイテッドのグラウンズチームが受賞していなかった中での受賞となりました。

ウエストハム・ユナイテッドのグラウンズチームの皆さん

今シーズンの25-26シーズンは、ウエストハム・ユナイテッドはもちろんのこと、アストン・ヴィラ、そしてトッテナム・ホットスパーマンチェスター・ユナイテッドといった過去5年間で賞を取っているクラブには、芝生からの目線としては、目が離せないチーム。

そしてレスター・シティに関しては、その受賞した際のヘッドグラウンズパーソン(スタジアムの芝生管理で1番偉い人、いわゆるボス)が、受賞した翌シーズン、マンチェスター・シティにヘッドハンティングされています。

なので、個人的にはマンチェスター・シティはいつも注目してみています。

Grounds team of the seasonについて、より詳しく知りたい方は、以前のブログをご覧ください。

24-25シーズンプレミアリーグGrounds team of the seasonが決定!
24-25プレミアリーグのGrounds Team of the Seasonは、ウェストハム・ユナイテッドの本拠地ロンドン・スタジアムに決定! 過去の受賞クラブも紹介。

時代はカーペットタイプのハイブリッドターフなのか?

ハイブリッドターフってそもそも何?という方は、まず私のブログの記事をご覧になってから、続きを読んでみてください。

ハイブリッド芝(ハイブリッドターフ)ってどんなもの?
近年日本でも導入されたハイブリッドターフっていったいどんなもの? その疑問をここでは解決!!

さて、記事にあるように、ハイブリッドターフには、大きく分けてステッチタイプカーペットタイプの2種類が存在しています。

ここ最近、ハイブリッドターフのニュースで私がよく耳にするのは、インストールしてからすぐに利用できるといったメリット。

つまり、芝生の撤去から芝張りをわずか数日で終わらせることで、コンサートなどから素早くサッカーのできる環境に変更できるということです。これはカーペットタイプにおける最大のメリットと言えます。

ステッチタイプの場合ですと、深さ約18cmほど人工芝繊維が地面の中に入り込んでいますので、当然18cmも掘り起こすことなど通常ではありえません。そのため芝生をリノベーションするとなれば、芝生のある上層部だけを撤去して、砂を見て播種して、という流れになり、播種してからサッカーができるようになるまでには、最低でも1か月以上は必要です。

ステッチタイプの標本

しかしカーペットタイプであれば、事前に別の野外で生育させていた芝生をそのままスタジアムに持ってくるだけで使用可能。しかもその野外で生育させるときに、カーペットタイプのハイブリッドターフの上で芝生を育てておけば、ハイブリッドターフごとスタジアムに移動させることができるというわけです。

つまり、シーズン終了後、すぐにコンサートをたくさん行って、その後シーズンが始まる少し前にカーペットタイプのハイブリッドターフ+芝生を持ってくれば、シーズンの準備完了!となります。

いやいやちょっとまてIkumi。いくらカーペットタイプで芝生を持ってきたからと言って、すぐに使えるわけないよ、そう言いたい方もいるでしょう。結論・・・できました。

シーズン前に行われたコミュニティシールドの会場、ウェンブリースタジアムでは、オアシスのコンサートからわずか4日で芝張りまで終えて、芝張り後3日目に試合を開催しています。

私もこのゲームでは、芝生の上で仕事をしていましたが、芝張り直後だからと言って、芝生が動くこともなく、特別滑るようなこともなく、何も違和感を感じませんでした。

試合をテレビや会場で観戦していた方々は、この芝生が別の場所から持ってきた4日目のものであることに気が付いた人が、果たして何人いるのか私は気になりますが、きっとそう多くはないでしょう。

話を戻しましょう。カーペットタイプのメリットとしては、常に最高の状態のハイブリッドターフのメリットを生かせること。

例えば、ステッチタイプであれば、リノベーションしているとはいえ、年々人工芝繊維もへたってきますし、所々無くなってしまっている個所もあれば、砂で埋もれてしまうといったこともあります。

しかしカーペットタイプは、よそで育てた年数がそこまで経過していない芝生を持ってくるだけなので、繊維がしっかりしています。

人工芝繊維がしっかりしていれば、その分スリップすることも減りますから、メリットは多いです。

一方でデメリットとしては、人工芝繊維もシーズン終了後に芝生と一緒に剥ぎ取り、新たなハイブリッドターフと芝生を持ってくることになるので、人工芝の費用が余計にかかることと、芝生の運搬費用といったコストがかさむことです。

しかしながら、近年のプレミアリーグの選手事情を考えますと、何十億もの年俸の選手たちを抱えているわけですから、選手が活躍しない方がクラブにとってデメリットということで、多少コストが増えても、選手を守るためであれば芝生に投資するというクラブが、年々増えているような気がしています。

それに、集客力の高いアーティストを呼べば、スタジアムの利用料だけでもひょっとしたら張替え費用プラスアルファを生み出せる可能性があるので、それを考えたら、カーペットタイプのハイブリッドターフに変更しても、さほどコストは増えないのかもしれません。

実際に、リヴァプールFCのホームスタジアムであるアンフィールドでは、数年前にステッチタイプからカーペットタイプのハイブリッドターフに変更しています。

そして昨シーズン評価の高かったスタジアムの中には、アンフィールドをはじめ、トッテナム・ホットスパースタジアムもあり、そしてロンドンスタジアムも実はカーペットタイプのハイブリッドターフを利用しています。

どちらが良い悪いなどは、今のところ特にありませんし、それぞれの良し悪しがあります。ただ、こういったハイブリッドターフの中にも種類があり、そしてそれがピッチコンディション、そして選手のプレーにどう影響しているのか、今シーズンはそういったハイブリッドターフの違いからプレーの質というのも見ていっても面白いのではないでしょうか?

肝心のアーセナル、エミレーツスタジアムは?

さて、私のブログである以上、そしてアーセナルFCのグラウンズパーソンである以上、アーセナルの話をしないわけにはいきません。

エミレーツスタジアムが採用しているハイブリッドターフは、ステッチタイプです。

余談ですが、プレミアリーグクラブの中では、最も最初にハイブリッドターフを導入したクラブでもあります

それによってアーセナルが得意とするパスサッカーを体現してきたわけです。

そんなアーセナルですが、今シーズンは昨シーズン以上に試合数が増えることが予想されています。

まず、1stチームがプレミアリーグやチャンピオンズリーグを戦うため。そしてこちらは勝ち進み次第ですが、カラバオカップやFAカップも、抽選次第では利用することに。

そして女子チームの方は、リーグ戦全試合をエミレーツスタジアムで開催することをアナウンスしました。カップ戦やチャンピオンズリーグの予選は別の場所で行いますが、決勝トーナメントに進出した場合、おそらくエミレーツスタジアムを使用することになるでしょう。

女子は昨シーズン、チャンピオンズリーグで優勝していますから、エミレーツスタジアムのキャパシティを最大限生かしたいという狙いでしょう。

といった感じで、かなりの試合数が多くなりますので、ピッチコンディションにはやや不安を持った方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今シーズンのエミレーツスタジアムは一味違います

なんと、ハイブリッドターフのステッチタイプを、新たに補強しました!これは素晴らしい補強と言えるのではないでしょうか?

エミレーツスタジアムハイブリッドターフインストール中
ハイブリッドターフをインストールする機械
長い金属の棒に繊維を通して、地面に打ち込みます
打ち込み後
リノベーション後のエミレーツスタジアム

といった感じで、エミレーツスタジアムでは、選手を文字通り足元から支えるための準備ができています

もちろん日々のグラウンズチームの活躍があってこそですが。今シーズンからは、私も可能な限り試合のスタッフとして参加しようと思いますので、会場でお会いしましょう!

まとめ

このように、サッカーに欠かせない芝生は、グラウンズチームが必ず管理しています。

普段芝生に気にかけない方が多いですが、あなたの応援しているクラブにも必ずグラウンズパーソンの方々がいて、日々芝生の手入れを行っています。

「いつも」でなくてもよいので、気が付いたときに、芝生のことを思い出してくださると幸いです。

そして、今回のブログのテーマでもある芝生を通して1.1倍ほどプレミアリーグを楽しんでいただけましたら幸いです。

私のエックスでも、プレミアリーグの芝生情報に関しては発信していきますので、そちらもお楽しみに!!

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