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カタールワールドカップが終了。スタジアムの芝生についての総括。そして今後へ

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サッカー
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2022年、最も大きな世界的イベントが12月18日に終了。このカタールワールドカップにおいて、アルゼンチン、そしてメッシが成し遂げた偉業は今後のサッカー史の中で深く刻まれ続ける出来事でしょう。

そして、日本もこの大会において厳しいグループリーグを突破できたというのは、今後に向けて好材料になるかと。

そんなカタールワールドカップについて、多くの方々が戦術面やチームの総括を行っていると思われるので、私は少し違う視線からこの大会について振り返っていきたいと思います。

本業にあるように、芝生に関してはまだ誰も総括していないと思われるので、各スタジアムがどのような過酷な環境だったのかというものを皆さんにご紹介します。

そして、少しでもプロサッカー選手の活躍する舞台の裏では、芝生を手入れするプロフェッショナルがいるということが皆さんに伝われば幸いです。

また、以前にカタールワールドカップ開幕直前に書いた芝生の種類などに関するブログもあるので、先にそちらを読んだうえでこれを読んでいただけると面白いかもしれません。

カタールワールドカップ試合会場の芝生について調べてみた
今回はカタールワールドカップ直前ということで、どのような芝生を使われているのか、そして刈高はどの程度なのかといったことをFIFAの芝生担当者から聞きましたので、記事にしたいと思います。 最後には少しお知らせがありますので、ぜひご覧ください!

このブログの作者Ikumiはアーセナルで
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
気になる方々はぜひ過去の記事を遡ってみてください。
SNSも発信中。気になる方はぜひフォローを!
Twitter: @Ikumi_grounds

ブログの作者Ikumiより

全体的な総括

まずは全体的に見て維持管理面はどうだったのかについて。私はこの大会の芝生管理について、素晴らしいマネジメントかつ、素晴らしい維持管理技術を持った方々が管理をされたのだと感じました

私の友人にFIFAで芝生の管理を請け負っていたスペイン人のJorge氏がいるのですが、彼もまた過酷な条件だったが素晴らしい経験になったと話しています。

そして大きなケガなど問題も起こらず、芝生が特別目立つことのなかったいい大会になったと話していました。

そのJorge氏からお知らせです📢

日本対コスタリカ戦の試合会場の芝生管理を担当された、FIFAの芝生部門にいらっしゃるスペイン人のJorgeさんは、日本でもより多くの方が芝生に興味を持ってくれるようにと、ご連絡をくださいました!

Jorgeさんは、普段スペインで芝生の管理を普段はされている方です。

お知らせの内容としては、オンラインにてスペインでの芝生に関しての講義を行っています(内容は英語で行います)。そしてこの講義を受けて証明書を受け取ると、ヨーロッパにおける芝生管理の講座を受けたという実績ができ、CV(履歴書)に記入することができます。

今後ヨーロッパで芝生の仕事に就職したい、もしくは日本でも芝生管理をしている方で、ヨーロッパの芝生管理技術に関する講義に興味があるという方にとっては、2か月程度のオンラインで受講できる講義ですので、非常に有意義なものになるかと思います。

もし興味のある方は私までご連絡ください!少しでも多くの方が、私のようにヨーロッパの芝生管理に携わる人が増えることを願っています!

英語ができないからこの講習はあきらめるとお考えであれば、英語を学習するところからスタートしてもいいのではないでしょうか?

お問い合わせは、このブログからでも、SNSからでもどちらでも問題ございません!

新しいことへのチャレンジ、お待ちしております!

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ではここからは、具体的にみていきます。

スタジアム数

まず、この大会について普段のワールドカップと大きく異なるのはスタジアムの数です。

普段のワールドカップでは12会場を用意して、それぞれローテーションで試合を割り当てています。しかしこの大会においては、4会場も少なく合計で8会場しかありませんでした。

試合の割り当てを確認しましたが、グループリーグにおいては、わずか11日間で6日の試合があり、単純計算で2日に1回の試合がありました。

ただこれは試合数だけの単純な問題ではなく、グループリーグにおいては毎日利用するイメージに近いと思います。

前置きとして、多くの代表戦においては、そのスタジアムの環境に選手が慣れたいため、試合の前日にスタジアムで練習することが多いです。この前日練習ですが、そこまで強度が高いわけではありませんが、利用するという事実があることについて変わりはありません。

つまり、グループリーグの全日程が終了するまでの間、毎日何かしらの利用があったというわけです。

また、全日程を終了するまでの間、最も利用の多く決勝戦の行われたLusail iconic stadiumでは、利用が最初にあった11月22日の試合から決勝戦まで27日間で10日もの試合が行われています。ちなみに少ない会場では、全日程のうち7日の利用です。

12会場あれば、単純計算でグループリーグにおいては、試合までの間中2日の期間が設けることができますが、この8会場というのは、非常に大きなチャレンジかつ、グラウンドチームにとって非常に頭を悩ませる要因だったのではないでしょうか。

私は、この会場の数でできたのだから、今後マネしていくぞ!とならないことを祈ります。はっきり言って異常な利用頻度です。特に日本ではコスト削減の一環でやりかねないので細心の注意を払いましょう。

アルゼンチンvsサウジアラビア(この会場の開幕戦)今後10試合行われる
アルゼンチンvsフランス(この会場の最後の試合)ゴール前以外大きな問題は無さそう。

芝生の草種と気候

この大会において、芝生で成功できた要因は、気温などの環境に適した芝生の草種を用意できたことだと思います。

カタールワールドカップ試合会場の芝生について調べてみた
今回はカタールワールドカップ直前ということで、どのような芝生を使われているのか、そして刈高はどの程度なのかといったことをFIFAの芝生担当者から聞きましたので、記事にしたいと思います。 最後には少しお知らせがありますので、ぜひご覧ください!

このブログでも書きましたが、ベースの芝生としてパスパラムを採用。そしてオーバーシード(冬芝の種を上から播く)(こちらのブログを参照コラム:日本のピッチと海外(プレミアリーグなどのヨーロッパ主要リーグ)のピッチの違いと芝生管理について (ikumi-honda.com)) を採用しています。

芝生の疑問を解決!日本のピッチと海外ピッチのって何が違う?芝生の模様ってどうやってできる?
日本とヨーロッパ(主にプレミアリーグ)のスタジアムや練習場の芝生管理についてまとめました。 これを見て芝生に理解を深めていただけると幸いです。

そして現在多くのヨーロッパの会場で主流となっているハイブリッドターフも会場にて採用しています。

ハイブリッド芝(ハイブリッドターフ)ってどんなもの?
近年日本でも導入されたハイブリッドターフっていったいどんなもの? その疑問をここでは解決!!

カタールの気候においては、おそらく暖地型の芝生が休眠することなく、この大会に挑むことができたと思います。そのため、暖地型の芝生で横に這った強度を作り、そこに冬芝を織り交ぜてより強度を高くし、なおかつハイブリッドターフがあることで、より根っこから芝生がスパイクで持っていかれることを軽減する。

暖地型の芝生も休眠することがないので、ダメージがあっても横への修復は断然早いです。

とはいえ、どの会場もそれなりに大きな屋根があったので、グローライト(芝生に当てるライト)といったテクノロジーを多く採用したのは間違いないと思います。(グローライトについては、こちらで説明しています。)

コラム:最先端の技術が詰まったトッテナム・ホットスパースタジアムの全貌【芝生編】
トッテナム・ホットスパースタジアムの芝生にフォーカスしました。どのような機械を使っているのか気になることが多々あると思いますが、これにて解決!!

またケガが少なかったのも、この暖地型の芝生が横に這った影響で、クッション性が増したからというのも考えられますね!

グラウンドチーム

この大会においては、多くのヨーロッパなどで活躍するグラウンズパーソンたちが、FIFAからの申請で派遣されてそれぞれの会場を担当していたと伺っています。

世界的に優秀な人材をそろえ、そして適材適所の機械を駆使し、経験や知識をこの大会に全て注ぎ込むことができたのは、大きなことだと思います。

ただ、1つだけ懸念があるとすれば、それは現地の方々の仕事も奪われかねないので、もし日本でもワールドカップ開催を目標とするのであれば、今以上に芝生の知識を増やし、より一層の努力も必要になりそうだと感じます。

今後のワールドカップについて

今後のワールドカップは、私の予想では共同開催が増えると思います。

なぜなら試合数の増加はスタジアムの利用数増加に繋がり、それだけの数の国際大会ができるスタジアムを用意できる国はかなり限られてくるはずです。

48チームに増えたことによる懸念は、こういったグラウンド面にも影響が生じてきます。次の北米カナダメキシコアメリカワールドカップが、どのような日程を組むのかは今現状不明ですが、この規模の国々だからこそできる、という可能性も感じます。

予想では、12会場で事足りていたものを、少なくとももう4会場増やさなければならないのではないでしょうか。

もし日本でもこの48チームのレギュレーションでワールドカップを行うのであれば、どのスタジアムでできるでしょうか。12会場であればギリギリ日本が名乗り出た頃のワールドカップ開幕までに増える可能性もありますが、16会場ともなればおそらく厳しくなると思います。

となると、日本の単独開催はかなり厳しくなるかと思います。

そういった面において、私は48チーム開催は、競争力の低下を招くという面だけでなく、選手の安全面を考慮して芝生の育成期間を設けるためにも反対です。

まとめ

カタールワールドカップは、芝生の面においては、成功といえます。この利用頻度で、そして決勝戦まであれだけのクオリティを維持できていたのであれば、十分といえます。

ただ、決してこれが正解ではなく、この大会でできたからこの会場数で、とならないことを祈ります。それはグラウンドチームが厳しい環境になるからというだけでなく、芝生のクオリティを一定以上でプレーしてもらいたく、そしてそれが選手の怪我を抑制することにも繋がるからです。

ただ、個人的な意見としては、グラウンドチームにとってこの大会の経験は、かなり大きな経験になったのではないかと思います。もし叶うなら、この大会のグラウンドチームのヘッドグラウンズパーソンとして参加し、厳しい環境の中維持管理をしてみたかったなと強く思います。

そして、私自身、もし今後日本でワールドカップが開催されるようであれば、芝生部門の長として大会に携われるよう努力してまいります。

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