25-26シーズンは、私にとって大きな意味を持つシーズンになったかと思います。
どのようなシーズンになったのか、思い出も含めて今回は少し振り返っていきます。
ウェンブリースタジアムにおけるイングランドvs日本(2026年3月31日)
まず最初に思い出すのが、ウェンブリースタジアムにおけるイングランドvs日本のナショナルゲーム。
試合の結果は日本が1-0で勝利しましたが、私にとっては忘れられない1試合となったかと思います。

ウェンブリースタジアムで試合が行われる場合、アウェイチームは基本的にウェンブリースタジアムにて1時間だけ練習を行うことが許されています。その場において当然ながら日本のスタッフの中で英語を話せる方もいらっしゃいますが、日本語で直接芝生のピッチの利用方法等をウェンブリースタジアムのボスたちから私自身が通訳できたのは、大きな意味があったように思います。
細かい部分で言いますと、ピッチのコンディション等をコーチングスタッフの方々にお伝え出来たのは、日本にとってはアウェイの環境だったものの、私なりにそれを日本にとってのホームに変えられるようにお伝え出来たのではないかと思っています。
仕事の面以外だと、森保監督とお話しできたのは光栄でした。開口1番に森保監督は、芝生に照射するグローライトの大きさに驚かれており、実物がピッチ内には置いていないにも関わらず、どこでそんなもの見つけてきたんだと思いましたが、このたった一言で、森保監督がどれほど周りを注視してしっかり観察されているのかが私には伝わってきました。

他には、名波コーチとご縁ができたのは嬉しく思います。実はウェンブリースタジアムでの練習後に少々お話しする機会があり、少しロンドンに滞在しているとのことだったので、ではSobha Realtyトレーニングセンターにいらっしゃいませんか?とのご提案を引き受けていただき、私のホームをご案内させていただきました。
山本先生にもご協力していただき、今後日本サッカーにおいてアーセナルトレーニングセンターのような大きなそして意味のあるクラブハウスができたらと思いご案内できたのは、今後の発展にとって寄与できたポイントになるかもしれません。
さて、話を戻して、ウェンブリースタジアムにおける試合当日は、ピッチの使い方をコーチングスタッフの方々にお伝えしつつ、どのタイミングでGK練習が終了するのかなどコミュニケーションをスタッフの方々と図りつつ、グラウンズチームとの連携もしていくという貴重な経験ができました。
ウェンブリースタジアムにおいて、まさか日本語が役に立つ日が来るとは思ってもいませんでしたし、実際にウェンブリースタジアムのような大きな舞台で親善試合ではあるものの、いつもと違った景色が見れたのは大きな経験になりました。
イタリア、スペイン、アイルランド芝生旅行
イタリアとスペインへ芝生を見るために旅行へと出かけました。
イタリア
イタリアでは、フィオレンティーナさんの新しくできたばかりの練習場を訪問させていただき、そして25-26シーズンではセリエCに所属してたペルージャさんの練習場と試合会場を訪れました。
フィオレンティーナさんの練習場
フィオレンティーナさんの練習場は、純粋にどんな感じなのか気になったので、イタリア人の友人にコンタクトを取ったら、自分の会社が管理しているとのことだったので(イタリアも芝生管理は、日本と同じく芝生管理の会社が業務委託を受けているケースが多いです)、じゃあ行くよという感じで決まりました(イタリア語は勉強中です)。
最新の練習場というだけあって、ものすごく広く、そして施設もとてもきれいでした。特に、練習場内には教会もあったり、練習するためだけではないというのも見逃せないポイントかなと思います。
他には、ガーデンがとても整備されていてきれいでした。イタリアの練習場の多くは、こういったガーデンにも非常に力を入れているところが多く、例えばACミランさんの練習場もガーデンにはとても力を入れています。
こういったピッチ以外の面は、アーセナルトレーニングセンターでも取り入れていきたい部分です。



ペルージャさん
ペルージャさんは、日本人の方がスタッフとしていらっしゃるということで、訪問させていただきく機会に恵まれたのでお尋ねしました。
ピッチの面数は天然芝1面の練習場とスタジアムと規模は小さいものの、小さいからこそ芝生管理者の腕というのが試されると個人的に思っています。
ピッチのレイアウトを変更してダメージを分散させるというアイディアができないためだったり、予算が芝生にあまり割り当てることができないからこそです。
私は芝生のあるところであれば、時間さえあれば、可能な限り行きたいと思っています(すみません、食事と衛生面と治安が悪い場所など、個人的に合わない場所にはいきません)。芝生のあるところに私がいると思っていただけたら良いのではないでしょうか。



スペイン
スペインでは、アトレティコ・マドリードさんのメトロポリターノ、アスレティック・クルブさんのサン・マメス、レアルソシエダさんのレアレ・アレーナ、そしてセビージャさんのスタジアムと練習場を訪問させていただきました。
レアルソシエダさんのレアレ・アレーナ
まずこの旅は、メインはレアレ・アレーナとセビージャさんの施設。レアルソシエダさんの芝生管理者さんとはご縁があったため、試合の日に行かせてほしとお願いしましたら、許可を頂き、芝生の上だけではなく、試合当日のホスピタリティシートにもご案内いただくなど、非常に手厚いご招待を頂きました。
気候はイギリスに似ていて、雨が多いともおっしゃっていて、芝生も冬芝を採用していたり、似ている部分があって勉強になりました。



セビージャ
そしてセビージャさんも、芝生管理者の方とご縁があり、スタジアム、そして急遽練習場も訪問させていただくこととなりました。
セビージャは南の方に位置している地域で、3月でしたがとても暑く、サンセバスチャン(ソシエダのある地域)とは同じスペインとは思えないほどの気温差を感じました。
それゆえに、使用している芝生の夏芝が中心で、冬場はオーバーシードして冬芝を生育するという日本と同じ方式を採用していました。
日本人の私は、日本ではこのセビージャさんの方式で芝生の管理をしていましたし、イギリスのアーセナルでは冬芝オンリーというソシエダさんと同じ方式のため、どちらの方々とも芝生に関して熱い会話ができてとても有意義な時間を過ごせました。
スペインは年々温暖化の影響もあってか、南の方から少しずつ夏芝を採用しているクラブが増えてきているようで、日本人の芝生管理者が今後活躍してくる機会があるかもしれませんね。



サン・マメス
サン・マメスを訪問した、というよりスタジアムツアーに参加させていただき、そこで芝生の上にいた芝生管理者を捕まえて少し会話させていただいた感じです。
サンマメスのあるビルバオは、単純に今回の旅のハブにしようと思い、それならいっそ時間のある時にサン・マメスを訪問してみようと思い伺った次第です。
さすがにスタジアムは大きく、そして屋根も大きかったので、管理するのは大変だろうなと思いながらスタジアムを後にしました。



メトロポリターノ(アトレティコ・マドリードさん)
アトレティコ・マドリードさんのホームスタジアム、メトロポリターノは、単純にトッテナム・ホットスパーさんと試合を行った時のピッチコンディションがあまりにも気になったので、急遽時間を割いて日帰りでビルバオから飛行機で向かいました。
実際にスタジアムツアーという形で訪問させていただき、そしてスタッフを捕まえて芝生のことを聞きましたが、11月のNFLの練習後の張替えあたりからピッチコンディションがなかなか維持できず、そして雨も続いた影響が大きかったとお話しされていました。
このあたりは以前のブログで書いていますので、内容が気になる方はご確認ください。
https://ikumi-honda.com/the-slippery-pitch-puzzle-at-the-metropolitano/2461/
そしてこのアトレティコ・マドリードさんの訪問の結果、まさかアーセナルが準決勝でメトロポリターノで試合を行うこととなったので、何があるか分からない人生だなと思います。このメトロポリターノ対策については、また後日書きます。



レアル・マドリードさんのスタジアムであるベルナベウも行きましたが、スタジアムツアーでは芝生に近寄ることができなかったので、今度日を改めてスタジアムのピッチ、それから練習場に訪問させていただくこととなっていますので、こちらもお楽しみに。
アイルランド
アイルランドへは、年に1度行われるアーセナルグラウンズチームのスタッフトリップで伺いました。
最初の場所は芝生の圃場。ここでは通常のナチュラルな芝生だけでなく、カーペットタイプのハイブリッドターフも出荷するために準備されています。
この写真では、このカーペットタイプのハイブリッドターフに対して、今後種を播種して芝生を作って出荷するという形。


今の時代、オフシーズンには可能な限りスタジアムをコンサート等のイベントで使用して収益を稼いでいくという経営モデルが主流になりつつあるので、その場合、カーペットタイプのハイブリッドターフですぐに芝生のピッチを用意するというスタジアムが増えつつあります。
芝生をスタジアムの外から持ってくることで、種から生育した場合の8週間をスキップできるメリットがあり、より多くのスタジアム稼働につなげることができるので、こういったカーペットタイプのハイブリッドターフの需要は増えてくることでしょう。
続いてアイルランドナショナルトレーニングセンターへ訪問。
タイミング悪く大雨に見舞われたので、しっかり見ることはできませんでした。

クロークパークという場所に訪問。
サッカー的にはあまりなじみのないスタジアムですが、収容人員82,300人というキャパシティでゲーリングフットボールという競技の拠点です。
2025年にはNFLが行われていたりして、近年は少しずつ様々なスポーツが行われるようになってきているので、覚えておいてもいいスタジアムでしょう。


アビバスタジアム
アーセナルがプレシーズンマッチを行うアビバスタジアムに訪問。
ちょうど訪問した日にアーセナルがアビバスタジアムにおいてプレシーズンマッチを行うことが発表されていました。
アイルランドのラグビーやサッカーの代表戦が行われる場所で、イングランドでいうウェンブリースタジアムに近く、日本で言う国立競技場のような聖地と言えるでしょう。



このような感じで、様々な場所を訪問させていただいたシーズンでした。
これだけの場所を訪問させていただくのは、単純にネット上ですべてを完結したくないから。今の時代、調べようと思ったら大半の情報を手に入れることができるでしょう。ネット上でその人にメッセージを送れば、聞くことも可能かもしれません。
ですが、最新の情報、そしてネット上には載せられないお話もそれぞれの皆さんが持っています。そして何より、実際に人に会わないと、人となりなどが分からないと私は思っています。
そして純粋に、芝生はその現地にしかないです。自分の目で見て触れて管理者の話を聞いて理解できるものが多いです。
オンラインで完結できる時代だからこそ、人に会うというのがより重要な意味を持つと思うので、まだまだ今後も旅を続けていけたらなと思います。ただ、相手の時間を頂戴することになりますので、自分自身も会いたいと思われるだけの立派な人間になれるように精進します。
プレミアリーグ優勝
プレミアリーグ優勝は、自分のキャリアにおいても欠かすことが出来ないピースの1つになったことでしょう。
25-26シーズンのアーセナル1stチームは、ほぼ全てのコンペティションを勝ち進んでいったこともあって、エミレーツスタジアムのピッチコンディションの維持や練習場のピッチコンデションの維持は厳しい道のりでもありました。
そんな中で、チームとして手に入れることができた優勝だと思います。
私自身も22-23シーズンから加入し、ずっと2位続きで優勝を経験したことがなかった中で、プレミアリーグのトロフィーを実際に持つことができ、少しはお力になれているのであれば嬉しい限りです。


エミレーツスタジアムの苦労
普段私はアーセナルトレーニングセンター、おっと、Sobha Realtyトレーニングセンターにいますが、25-26シーズンからはマッチデーにおいて時間の許す限り男女問わずエミレーツスタジアムで行われる試合でも働く機会を頂きました。
このシーズンからは、アーセナル女子もリーグ戦を全てエミレーツスタジアムで行うことになり、さらには女子クラブワールドカップという初めての試みもエミレーツスタジアムで決勝戦が行われることとなりました。
結論から言うと、非常にチャレンジングなスケジュールで、誰も経験したことがないものだったので、苦戦したように思います。特に1月末から2月初旬は1週間に5試合組まれるというクレイジーな日程もありました。
26-27シーズンは、女子のリーグ戦のチーム数も増えるため、より試合数が増加します。エミレーツスタジアムのグラウンズチームのお力になれるように今後も精進させていただきます。
そしてちょくちょく皆様が私に映ってたよーというご報告もいただきますが、それらは結構楽しみにしているところでもありますので、なるべくカッコよく試合を見ている姿勢を貫きたいですね笑(ナイトゲームはお腹がすくので、たまにチップスを食べているのですが、まだバレていないようなので良かったです)。SNSは最近では自分が投稿するタイミングでしか見ることが無くなりましたが、可能な限りチェックしたいです。


まとめ
25-26シーズンは、クラブもチャンピオンズリーグファイナルまで進み、非常に長いシーズンだと感じました。参加した試合数はエミレーツスタジアム、ウェンブリースタジアム、そのほかのスタジアムを含めると55試合。
練習場勤務で55試合の経験は、おそらくイングランド国内では最多だと自負しております。
26-27シーズンも引き続き、のんびり自分のペースで、しかし情熱をもって芝生管理に努めていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


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