次回のワールドカップに向けて、各国の代表チームはすでに様々な準備や強化を進めていると思います。
メディアでは選手選考や監督の戦術ばかりが注目されがちですが、今回は私の専門分野である「芝生管理者」の視点から、ワールドカップに向けてチームのために何かできるのか? というテーマで書いてみたいと思います。
ピッチは単なる「グラウンド」ではなく、勝敗を分ける最大の武器になり得ます。

以前のブログで芝生と戦術について書かせていただいています。気になる方はぜひ。
具体的にどんなサポートができるのか、3つのポイントに分けて解説します。
このブログの作者Ikumiはアーセナルで
ブログの作者Ikumi
グラウンズパーソン(グラウンドキーパー)として働いています。
今までも芝生に関しての記事をたくさん書いてきましたので、
気になる方々はぜひ過去の記事を遡ってみてください。
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そして芝生管理者、グラウンドキーパー専門の
求人サイトも運営していますので、
少しでも芝生の仕事に興味があれば、ぜひご利用ください!
芝生キャリア
1. 芝生管理者の派遣 〜キャンプ地を「代表仕様」に〜
過去の海外遠征や大会で、日本代表がキャンプ地のピッチコンディションの悪さに悩まされたケースがありました(直近だとメキシコでの練習場などがニュースになったこともありましたね)。

これを解決する一番の方法は、チームに芝生管理者を帯同・派遣することではないでしょうか?
事前にキャンプ地の状態をプロの目でチェックし、現地のグラウンズマンと連携しながら、ここが本当に利用する当日にピッチコンディションが大丈夫なのかどうか、そしてピッチコンディションを「日本代表仕様」へと引き上げることができるか。
キャンプ地選びにおいて、芝生のコンディションを正しく見極めることができる人物は、極めて重要だと思います。過去のデータから、そして芝生の状態を見て本当に大丈夫なのかどうかは、毎日芝生に触れている人間からしか見えてこないものがあるでしょう。
さらに、大会前から期間中にかけて芝生管理者をチームに帯同させることで、常に質の高いピッチコンディションを保証することができるかと思います。
選手たちがイレギュラーバウンドや芝のめくれにストレスを感じることなく、100%プレーに集中できる環境を作ること。これが我々グラウンズパーソンの最大のミッションです。
2. ピッチコンディションの確認とデータ化 〜スパイク選びとケガ予防〜
試合会場のピッチコンディションを感覚だけでなく、「専用の機械を使って数値化・チェックする」ことも重要な役割です。
ピッチの硬さ、芝のねじれ具合(トラクション)、ボールの転がりなどを正確に計測することで、チームに以下のような具体的なアドバイスが可能になります。
最適なスパイクの提案
用具係(ホペイロ)や選手に対し、「今日のピッチはこの硬さだから、このスタッド(スパイク)が滑りにくい」とデータに基づいたアドバイスができます。
ケガ予防とプレータイムの管理
メディカルスタッフと連携し、「このピッチの硬さ(あるいは緩さ)だと、足首や膝に不安を抱える〇〇選手は負担が大きいので、プレータイムは〇分程度に抑えた方が良い」といった、医学的視点とグラウンド的視点を掛け合わせたコンディショニング管理が可能になります。
3. さらに考えられるメリット:「本番環境の完全シミュレーション」
私の視点からもう一つメリットを付け加えるなら、「対戦相手や本番会場の完全シミュレーションができること」です。
次回のワールドカップで使用されるスタジアムの芝生の品種、ハイブリッド芝の比率、現地の土壌の硬さなどを事前に徹底的にリサーチし、キャンプ地のピッチを「本番会場と全く同じ仕様」に寄せていくことが可能です。
もちろん、現地の方々とコミュニケーションができれば問題ないでしょうが、実際にサッカー協会の方々の母語で、そしてスタジアムの視察に芝生管理者とともに行けるのであれば、キャンプ地をスタジアム仕様にすることは、より容易になるでしょう。
これにより、選手たちは練習から本番と全く同じ感覚でプレーでき、初戦のキックオフ直後から違和感なくトップギアに入れるようになるかと思います。
まとめ
戦術が高度化する現代サッカーにおいて、ピッチコンディションはもはや「運」ではありません。
コントロールすべき「戦術の一部」です。
裏方である芝生管理者がチームの戦力として組み込まれることで、ワールドカップでの躍進を確実に後押しできると信じています。
私のいるアーセナルでは、25-26シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ準決勝アトレティコ・マドリードさんとのアウェイゲームでは、メトロポリターノの芝生の長さにあわせて、練習場の芝生を刈らない、そして散水しないという私が加入してから初めてミケルが対戦相手の環境にピッチコンデションを合わせました。
このように芝生のチームの一員です。文字通りチーム一丸となって、次のワールドカップで日本代表が躍進してくれることを願います。
私も可能な限りお力になれたらと思っています。


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